検事失格
私は、著者と同じ年回りの弁護士ですから、
同じ年回りの検事の同期などもおり、
複雑な心境で読みました。
でも読んでよかったし、広く読まれて
欲しい本です。
それが著者の勇気に応えることになりますね。
検事とは法廷で時々相対する程度の関わりしかない
普通の弁護士としてはこの本の中身について
事実の有無を語る資格はないのでしょうが、
それでもこれまでに検事に対して抱いていた
イメージに最近の事件を合わせると、
なるほどといよいようなずける内容でした。
いったい、根本的にはどこを理由として
組織がゆがんでいくのかを考えさせられる
内容で、少なくとも僕が(個人的にも
職業上も)知る検事たちは我々に対する
限り、人によっての違いはあっても
総じて当たりが柔らかく、しかし議論となると
激しくという、悪くない法律家たちです。
けっきょく、密室の取り調べがいけない、
というありふれた結論になりそうだし、
決裁制度という検察庁ならではの
仕組みが法律家としての判断を曲げる
面があるというくらいの感想になって
しまうのですが、これは確かに体(精神)を
壊すねという内容でした。
ちょっと言い訳が多いという感想も
ないではないです。しかし、それは
もうしょうがないと思います。これだけの
自分の関与したことを懺悔する内容ですから、
潔くどばっと書かれるより僕は好感(というと
きわめておこがましいですが)を抱きます。
POO-SUN
一曲目、20分の演奏になる「ダンシング・ミスト」を聴いた時、
どこかで聴いたことあるなあ・・・と思ったら、
映画「ヘアピン・サーカス」のサントラで冒頭に収録されていた、メインテーマそのものでした。
その他、4曲目「Yellow Carcass in the Blue」も、サントラに使われています。
その他、「E.J」などは4ビートでグイグイ引っ張るハードな演奏。
クールでシャープ、色っぽいサウンドが刺激的です。
菊地雅章(p,el-p), 峰厚介(ss,as), 市川秀男(el-p,org), 池田芳夫(b,el-b),
日野元彦、村上寛(ds), 岸田恵二(per) 1970年9月7日、9日録音
ミニコミ2.0 ミニ・コミュニケーションとメディアの行方
その気になれば、いつでも、どこでも、誰でも、気軽に何でも配信できる時代である。メディアを運営する単位が企業から団体・個人にまで行きわたり、ミニメディアという形のメディアが乱立するようになった。それはかつての「ミニコミ誌」と呼ばれたものとも違い、多様性と発展性を帯びた新しいメディアとコミュニケーションを生み出している。本書はそんな「ミニコミ」の未来を、対話によって描いた一冊である。
この判型や文体を見ると、かつて広告業界にあった「広告批評」を思い出す。その当時には分からなかったが、無くなった今思うのは、業界内からの健全な批判こそが、業界の進化を生み出してたということである。そういった意味で「ミニコミ」という小さなメディアに、これだけの錚々たるメンバーが終結し、批評を行っていることこそが一つの事件であり、新しいメディアへの可能性を感じることでもある。
◆本書の目次
1 出版
宇野常寛×黒瀬洋平×橋本倫史 ミニコミ・コミュニケーション
宇野常寛×速水健朗 「誰でもメディア時代」の雑誌
小林弘人×新城カズマ 「誰でもメディア」時代の情報戦略
市川真人×西田亮介 メディアと流通の未来
2 放送/空間
そらの Liveメディアが情報を繋ぐ
李明喜 後期デザインへ
3 インターネット
片桐孝憲 pixivを巡るコミュニケーションとプラットフォーム
湯川鶴章 情報化社会の条件
津田大介 Twitterの公共性とミニメディアの可能性
4 メディア
東 浩紀 メディアを考える、メディアから考える
印象的なのは、いずれの語り手も「ミニコミ」を礼賛もしていなければ、否定もしていないということである。それは「マスコミ」に対しても同じような態度であり、各人が特有のバランスで臨んでいる様子が伺える。
その中で新しく見えてきたものは「メタメディア」という概念である。「メディアのためのメディア」、「送り手のためのメディア」と言ったら良いだろうか。かつての自己満足型の閉じた「ミニコミ」とは違い、新しい「ミニコミ」は、シーンへの影響力や積極的な関与を希求する。ミニコミの先にいる1000人が、さらにその先の10万人に網状に広げるために、レガシーメディアたる「マスコミ」をどのように組み込むのか、そして「ミニコミ」が「メタメディア」としてどのような役割を担うのか、そこが今後の争点になってくるのではないだろうか。
この状態が「マスコミ」から「ミニコミ」へという大きな変化の過渡期に生じた「つなぎ」としての状態にすぎないのか、そして「メタメディア」という概念が「ミニコミ」や「マスコミ」にどのような変容をもたしていくのか。今後の動向に向けて、非常に興味深い示唆を得た一冊であった。