いのちの文化人類学 (新潮選書)
最近問題となっている「いのち」について様々な方向から触れられていておもしろい。
ただ、一部未整理な点や不明点があるのが残念。生命観を中心とすれば文化人類学の本として読むことが出来るし、生命倫理の本としても見ることが出来ると思う。
それほど重い内容の本ではないので手軽に読むことが出来る。
バカモン!波平、ニッポンを叱る
「さっすが昭和一桁、し~ごと熱心だこと」
この台詞は映画「カリオストロの城」でルパン三世が銭形警部を観察しながら発した言葉。
そう、銭形警部は昭和一桁生まれ。もしご存命ならば、今では70歳前後のおじいさん。
昭和一桁といえば第二次世界大戦敗戦時に多感な少年期をむかえ、その後の高度成長をモーレツな働きぶりで支えた世代である。
まじめ一徹で曲がったことが嫌い。映画での銭形警部は、世間がもつ昭和一桁男のイメージを体現していた。
著者である永井一郎さんも昭和六年生まれ。「カリオストロの城」ではカリオストロ伯爵の右腕、ジョドーを演じているが、この本での永井さんは銭形警部と同じ、真面目で一本気ですこし哀しい昭和一桁の親父そのものである。
アニメファンならば永井一郎を知らぬものはいまい。名前は知らなくとも、日本人であるならば赤ん坊から老人まで、彼の声を聞いたことの無い人間はいないはずである。
これほど有名な人なのに、我々は永井一郎の人となりを知らない。日本一有名な声の持ち主が、どのようなことを考え、何を語っているのか。この本は今のところ、それを知る唯一の手がかりである。
曲がったことが嫌いな昭和一桁の男の考えがストレートに表現されている。教育から経済、政治にまで縦横無尽に話題は広がる。
ご本人は酒飲みの与太話と謙遜しておられるが、なかなかどうしての博識ぶり。出身校で人を判断するのはどうかと思うが、京都大学出身ときいて成る程と唸る人も多いに違いない。
物の見方も右や左に偏ってはいない。筋を通すこと、あたりまえのことをあたりまえということ。ゆるぎなき親父の物の見方だ。
だからこそ、「バカモン!」と叱られてもそれは説教臭くなく、むしろ耳に心地よく響くのである。
なんだ、アニメについて語られていないのかと残念に思うアニメファンもいるかもしれない。しかし、がっかりしてはいけない。
次の著作はアニメ史中心になると永井さんは仰っているのだ。この本が売れれば、出版の可能性が出てくる。これでこの本を買わなければアニメファンの名折れであろう。
波平さんの年金
最近、サザエさんの登場人物で相続税とか年金とかを説明する本が増えたが、
何しろ著作権上、本中に漫画を使えないので、どの本も、普通の年金説明本の、
甲乙とかABとかの名前部分を波平とかフネに変えてあるだけで、あとは普通の文章。
しかも、ザザエさんの登場人物は、実際はまだ年金とか相続する年齢ではない。
波平は、何しろ7歳のワカメのパパなので、孫がいるだけで、
年齢的にはまだおじいさんではないし、亡くなりそうな年でもない。
髪型があんな外見なだけで、おじいさんだと思われている。
この本も、漫画がないので普通の年金本であるが、それとしては
文章も簡潔でわかりやすく、レイアウトも見やすい。年金を説明した本としては
わかりやすいコンパクトさの本の一つだ。もちろん漫画があればもっとわかりやすいが、
ないので、難しい年金用語の説明もこれが限界でしょう。
一番のヒットは伊佐坂先生を60才という設定にして年金を説明している事。
二人の子供の年齢からして、ギリギリだが、伊佐坂先生はこんなイメージなので、
これはアニメの視聴者にはわかりやすい設定だった。
しかし波平は年齢設定上、昭和33年生まれになっている。
イメージできないのでわからない。
軍歌・戦時歌謡大全集2/昭和の軍歌
歌は世につれ人につれといいますが、まさにそのとうり。当時の社会情勢を知るうえで大変貴重な資料であると思います。個人的には実弾演習中に戦死なされた北白川宮永久王の作詞された駐蒙軍の歌が一番のお気に入りです。