現代水墨画選-2009 薮椿

現代水墨画選-2009 薮椿


水墨画家 篠原貴之が、自作を語る。 ◆薮椿嵯峨の山の中にあった薮椿。 人知れない所で、太陽を浴びよう、見てもらおうと主張しているような花の「けなげさ」を描こうとした絵です。 「赤」は透明水彩。 色を入れる初めての試みは2〜3年前。 本の表紙に使いたいと、絵の依頼があって、 「椿山」という直木賞作家の乙川優三郎さんの短編集なんだけど、 乙川さんから、「少し色を入れてもらえないか?」と聞いてから・・・。 それまで墨だけで描けないものは描いてなかったんだけど例えば「葉」、「花」や「果実」のような静物画、少しの色が画面のポイントになるような、 色のイメージが決定的になるものや、 少しの色が画面のポイントになるようなものは描いてなかった。 「赤」というのは絶対に墨の濃淡で捉えられない、強烈なイメージを感じさせる色。 華やかさがあって、人を寄せつける、誘い込んでいる「誘惑」みたいな色だと思う。 また、緑や水色など他の色は、墨色によって感じさせることが出来るけれど赤だけは、どうしてもできない。 描いていて「赤が欲しい」と思う。 人間は赤と白黒だけで識別できるという説がある。赤は興味の尽きない色だと思う。 印・小林早容子先生(篆刻家、毎日書道展審査会員)
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