リアルタイムメディアが動かす社会: 市民運動・世論形成・ジャーナリズムの新たな地平
ほぼすべての講義を直接受けた学生です。
保存用として購入しました。
このような講義を直接受けることができて幸せだと感じました。
「今」受けるべき講義だと思います。
なお今年も開講されるらしいので潜ってみるつもりです。
検察崩壊 失われた正義
「…(略)…これは私の見方からすれば、クーデターです。日本でそういった視点を持っている方はあまりいないと思いますが、これはどう考えても、日本という国で検察が起こしたクーデター、民主主義が踏みにじられた問題です」(本書第3章:八木啓代さんの発言)
「クーデター」とは、デモクラシーを国是とする日本にとって、黙過することのできない、由々しき行為だ。この言葉を口にした八木啓代さんは、ラテンアメリカと日本で活躍される音楽家・作家であり、市民団体「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」の代表も務められている。この「市民の会」の設立趣旨等については、同会のHP等をご覧いただくとして、メキシコにおける「政権交代」の際の酷似した事例を知る八木さんの語った「クーデター」という発言の意味は極めて重く、対談者である元東京地検特捜部長の郷原信郎さんも「実質クーデター的なもの」(p.156)として肯定的に受け止めざるを得なかったのである。それにしても、2009年の歴史的な「政権交代」前後に起きた検察による事実上の「クーデター」に関し、「東京新聞」や「日刊ゲンダイ」などの一部を除き、新聞・放送の大手メディアの大半が“死の沈黙”を保っている異様さに、正直寒気を催してしまう。「三宝会」に支配され、「(内閣)官房機密費」等で“カネまみれ”になっているマスコミゆえの所為なのだろう。
当書は、上述の八木さんの他、小川敏夫・元法務大臣、石川知裕・衆議院議員、大坪弘道・元大阪地検特捜部長と郷原さんとの対談録を収載しており、それぞれに関心を呼ぶ内容が語られている。例えば、「陸山会事件」を巡る「捜査報告書」偽造問題に関する「こじつけ」と「詭弁」の横溢した2012年6月27日付「最高検報告書(正式の文書名は省略)」に関連して、6月4日の小川元大臣退任会見での検事総長に対する「指揮権発動」発言は、良識ある政治家・法曹人として、真に理に叶ったものであった。しかし、検察は数少ない「自浄」の機会を失い、元大臣ではないが「今回のようなこと(=検察の不正等)をやってしまったからには、もう今後50年は、検察は信頼回復できない」(p.32)だろう。また、大阪地検の「郵便不正事件」における証拠改ざん事件で犯人隠匿容疑で起訴され、裁判中である大坪元特捜部長の悔しさの滲んだ話も興味を引いた。両事件の扱いを対比する中で、最高検の“二重基準”ぶりがよく判る対談であった。その他、石川代議士にもブレはない。
この「陸山会事件」などに係る5名の認識は正当、的確だ。加えて、森ゆうこ議員の『検察の罠』なども読まれると事件の真相が一層立体的に見えてくる。郷原さんが述べるごとく「今、日本社会における検察の存在価値そのものが崩壊しようとしている」(p.217)のだ。
ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)
この本の帯を最初に見たとき、格差社会を肯定しているみたいでちょっと引いたが、読んでみるとかなり違う内容だった。
要するに、格差社会や貧困の中でも、人間的な繋がりを保つことによって、建設的に生きているラテンアメリカの人々の現状と、一方で、自殺率の異常に高い日本の状況を、その目からウロコ的な原因を呈示し、(すぐに実現可能かどうかは別として)ラテン的見地からの提言をしている。
自分自身、とても閉塞感を感じる日々だったので、とても参考になったし、日本人にとってぜひ読むべき一冊だと思う。