竹易てあし漫画全集 おひっこし (アフタヌーンKC)
日常を舞台にしたカルト・コメディー(?)の個人的最高峰。ストーリーはラブコメなんですけど、あちこちに細かく書き込まれた小ネタや登場人物たちの摩訶不思議なやりとりは癖になります。「そのせりふをそう受けるのか!!」という小気味よさ。また、サブキャラ達の「濃さ」も強烈です。木戸君と文学部二年福島みことのコンビは抱腹絶倒もの。「俺は赤木さんが好きだ!」で始まる主人公の冒頭6ページのぶっとびっぷりも必見ですよ!
刀と鞘
漫画「無限の住人」イメージ曲のシングル版。
アルバム版がとても良かったので桜下音頭目当てに購入。
この桜下音頭については「無限の住人」原作者が歌詞を担当。
曲調がアルバム収録曲とは少し違い、爽やか。桜並木の映える風景と人々の喧騒が浮かんでくるよう。
自分は辻斬り小唄無宿編と同じくらい好き。
無限の住人
通算6枚目。人間椅子のアルバムでは、0thと言われるインディーズ盤の次に入手困難な作品でしたが、この度『無限の住人』のアニメ化に伴って再発されることが決定。先日「踊る一寸法師」も再発されたので、これで人間椅子の全カタログがいつでも入手できるということになります(また、どうも「ペテン師と空気男」が入手困難になりつつあるみたいですけど)。
さて、このアルバムの内容ですが、人間椅子のカタログ中では最も日本らしさを意識したサウンドで(当たり前か)、人間椅子らしさとはズレた曲も何曲か入っていますが、全体的に曲のクオリティはかなり高いです。まさに全曲が名曲でしょう。"莫迦酔狂ひ"のドゥーム感覚も凄いですが、(なぜか)スペイシーな"宇宙遊泳"の味なんて、彼らが並みのハードロックバンドじゃないことをひしひしと感じさせてくれます。そしてラストは攻撃的にして耽美的な"黒猫"で締め。左右多重録音によるアイオミ風味たっぷりのギターソロの快感といったら・・・・・・あぁ。
ちなみに、今回の再発ではボーナストラックの追加等はありません。
ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)
最初は怖いもの見たさに、しかし次第にその物語の紡ぎ方の巧みさに魅せられてしまった・・と言ってしまえば全くその通りです。
散々な酷評を見て、自分もそれに追従しようかと画策しましたが、なんだかその気も失せてしまいました。
第一話、ダイアナの運命・・そもそも華麗な舞台と残虐性との落差や極限状態での性衝動を演出するためだけの"設定"だったのではないでしょうか。
それを単行本一冊分の世界観にまで膨らませるのは、やはり無理があったような気がします。
第二話、プリシラの存在とは何だったのか?ステラの中のもう一人の自分なのか、それとも・・。
最も目を背けたくなる場面が連続し、その深淵にあるステラの悲しみまで見失ってしまうかもしれない。
しかしその彼女の独白にこそ、この物語の主題が隠されているのかもしれません。
上記二話が効果的にはたらき、三、五、七話などは特に場面に馬車が登場するだけで恐怖と戦慄を感じてしまう。
第四話、咆哮とともにすべてを理解したピアスは、一瞬にして正気に戻ったのですね。
ちょっといい話になっています。
第六話、最後にリラが締めるマフラーは、回想シーンの父親のそれの比喩になっています。
そして第七話、劇中レスリーが演じる舞台も、最後に彼女を待ち受ける運命の比喩となっています。
最終第八話、ダイアナが行方不明になって7年後、親友コーデリアが再登場し、この物語に終止符を打ちます。
全話通して3回(最終話は名前のみ)と、ちょい役ながら最多登場はカザリンさん。トリビアですね。
個人的には第五話のルビーが自分の運命にどう決着をつけるのか、それが一番気になりました。
女性や子供に薦めるのはもってのほか、読者層は極端に限られるでしょう。
また、薦める事ができる相手も、分別と理解のある漫画読みの友人に限られると思います。
自分が"68人"の中に入るのかもしれない・・とゆう自嘲性と葛藤を持てないような男性諸氏が手に取るのも危険です。
あと、加えて言えば、少女漫画のコーナーの並びに平積みにしてこの本を売る書店もどうかと思います。
何の予備知識も無く、間違って買った人達のトラウマは一生消えません。