ランウェイ
600ページのボリュームを感じさせない、とにかく勢いのある小説です。ページをめくる手が止まりませんでした。主人公が、有名ファションブランドのバイヤー→セレクトショップのバイヤー→自分のファッションブランドのプロデューサー、と成長を遂げていくのですが、それぞれの内情が深く詳しく書かれていて、業界研究にも役立ちそうです。ファッションが好きなひとは必読です!
舶来屋 (新潮文庫)
幸田真音さんの経済小説。主人公のモデルはサンモトヤマの茂登山長一郎さんで、戦後の闇屋から絢爛たるブランドビジネスを育て上げる痛快小説だ。主人公「茂里谷」が若い二人に語り聞かせながらストーリーが進むところから見て、実質的には茂登山さんの自伝に近い。それを400ページも一気に読ませるところが、さすがは幸田さんの筆力だ。経済知識も確かなので読みやすい。
読んで圧倒されるのは主人公のバイタリティ、そして常に先の手を打つ経営者としての手腕。美しいものを扱いたい一念でエルメス、グッチの代理店契約を獲得していく執念は、ビジネスマンとして見習いたいところ。
また本書はブランドビジネス隆盛の歴史を語る一方で、警鐘も鳴らす。希少性を捨て沢山の手垢が付けば、最早高級ブランドではなく、大衆化したことになる。まぁそれでも今日、多くの日本人がグッチのバックを持ち歩くようになって、それなりに日本人の美意識も進化したといえるのかもしれない。捨てた部分もあるのだろうが、その辺は本書では語られない。
日本国債(下) (講談社文庫)
日本国債というあまり知らない世界の雰囲気を垣間見ることは出来たる。
ただし、小説としての味わい、おもしろさには欠いている。
ストーリーや文章などは、プロの作家とは思えない。
あっけなく終わった感じで、勧善懲悪的な舞台設定も面白みを欠いた。
それを差し引いても余りある情報量ではあった。
セミドキュメント又はレポートに近いかもしれない。
日本国債 オリジナル版〈上〉 (小学館文庫)
市場操作という倫理性に欠ける部分を肯定しているところもありますが、国債の仕組み(それぞれの立場でのここは「買い」か「売り」か)など勉強になりました。
さらに文庫本発行時には、単行本の発行の時期と状況がかなり異なっていたため、大幅に書き換えたと「あとがき」でいいます。それが読んでいて、違和感なくのめり込める理由だと思います。
エピローグの最後のページではうっすらと、「うんうん」と涙すら出た次第です。
日本国債は薄氷の上にずんずんと積り続けている実態、そしてそれを是正するための一つの方法を示してくれています。
財務省の階段
ホラーだと聞いていたので、夕方に読み始めた時は、途中でやめるつもりでいました。
ところが、夕食後また本を手に取ると、止まらなくなってしまいました。
各章を読み終える度に、ゾクゾクしてしまうのですが、主人公達の一生懸命に生きる姿勢に、思わず引き込まれてしまいました。
幸田さんの今までの作品とは、違った一面を見てしまいました。面白かった〜