リヴィング・アウト・オブ・タイム [DVD]
名曲「青い影」でお馴染みの元プルコル・ハルムのギタリスト、ロビン・トロワーによる2005年3月9日ドイツ・ボンでのバースディライブです。ロビン・トロワーの映像作品は部分的には出回っていましたが、ワンステージを収めたライブ映像としては初めてだと思います。観客がキャンドルで還暦のお祝いをしているシーンから始まるこの作品は、最新アルバム「Living Out of Time」のプロモーションを兼ねたものです。個人的な思いとしては、90年代以降のロビン・トロワーの作品は、往年の勢いが急速に衰えてしまって、個人的には忸怩たる思いを抱いていました。本来は待望の映像作品になるはずですが、実はあまり期待しないで観ました。
ところが仰天です。とても60歳のギタリストとは思えない迫力あふれるプレイに目を奪われました。とは言っても、個人的には新曲には目もくれず「Too Rolling Stoned」「Daydream」「Day of The Eagle」「Bridge of Sighs」「Little Bit of Sympathy」などの往年の名曲ばかりに注目していました。これまで90年代以降の作品に関しては手きびしいレビューばかり書いてきましたが、この映像の、しかも昔の曲に関しては「衰えた」などという失礼な評価を取り下げさせていただきます。
ちなみに解説ではリージョン1になっていますが、実際には「リージョンフリー」になっていますので、輸入盤を購入しても国産のDVDプレイヤーで再生できます。
For Earth Below / Robin Trower Live
1978年の初来日時に中野サンプラザに行きました。ちょうど「Long Misty Days」発売後。この時すでにb&VoのJames BrewerがVo専任の4人編成。3人が4人になることは、それ以外の人数のバンドで1人増えるのとは全く違い、途端に音楽が変わるとよく言われていますが、この時がまさにそうでした。このスウエーデン録音のライブCDでの3人のスピード感、緊迫感、メンバー間の相乗効果は跡形もなく、ガッカリでした。3枚目の「For Earth Below」から新加入のドラマーは、「ダンサンブルなドラムが欲しかった」というロビンの言葉にあるように、前任者より多彩なドラミングを披露していますが、スタジオ盤なので全容はわからず。しかし、「Bridge of Sighs:Expanded Edition」のライブのドラムとこのライブ盤を比べれば、差は歴然です。今でも色あせないcoolな演奏です。
ロビンのギターは、スタジオでもかなりライブ色が濃いですが、ライブではもっと自由奔放。トチリそうでトチラない、あの独特の”もたれ感”は健在です。ギターしか見ない人はジミヘンもどきと簡単にいいますが、バンドとしての音作りが過小評価されているのが、とても残念です。このCDはスタジオでの彼らの丁寧な作りこみの姿勢と、ライブで3人でどこまでできるかチャレンジしている姿の両方を聞ける、良いCDです。
Robin Trower Live
収録時間はたったの約40分。でも、でも・・、あまたある古今東西のライブ盤の中でも傑作中の傑作の1枚! もともとはスゥエーデンのラジオ番組用に収録されたもので、LP用ではなかったというから、やはり音楽は面白い。ぜひ、このジャケを眺めながら、“収録された当時のストックホルムに身を置いた気分で”聴いて欲しい。新に書かれた英文のライナーもついています。
音質面では、ぼくが持っている3作目のスタジオ盤とのカップリング作品「For Earth Below/Live」(LPの頃の印象に近い)とはG音色が違うように思う。ノイジーさも味わいがあったハイの部分をカットして、質実剛健なガッツリ音色に変わっている。3人の演奏もよりセンターに凝縮され強さが増したような印象。どちらも作品として優れているので、僕はその日の気分で選んで聴いています。
思い起こせば、‘78年の初来日時に中野サンプラザに行ったのは、本作発表後のスタジオ盤「Long Misty Days」発売後。B&Voのジェームス・ブリューワーは既にVo専任となり、4人編成に変わっていた。ロックバンドが3人から4人になるということは、それ以外の人数のバンドで1人増えるのとは全く違い、途端に音楽が変わると言われますが、この時がまさにそう、本当にガッカリしました。でも、このCDでは、(ブリューワーが'02年に亡くなったから)もう二度度聴けない3人による極上のライブが聴けます。「ダンサンブルなドラムが欲しかった」というロビンの言葉にあるように、3作目「For Earth Below」から新加入のDsビル・ローダンは多彩なドラミングを披露、触発されたようにジェームスもガッツにあふれた歌を、そしてバンドのスピード感、緊迫感は最初から最後までスキがありません。
ロビンのギターは、スタジオでもかなりライブ色が濃いですが、ライブではさらに自由奔放。トチリそうでトチラない、あの独特の”もたれ感”が僕には大きな魅力。ギターしか見ない人はジミヘンもどきと簡単にいいますが、ソングライティングやバンドの音作りが過小評価されているのが、とても残念です。本作はベスト盤とも言える選曲であり、未体験のロックファンにはぜひ試して頂きたいです。
A Tale Untold: the Chrysalis Years(1973-1976)
元「プロコルハルム」のギター奏者でジミヘンフォロワーの第一人者Robin Trower(ロビン・トロワー)がChrysalis Recordに残した初期5作品をまとめた編集盤です。普通なら見逃すというか、個人的には食指が動かない物件なのですが、リマスター化されたうえに数曲未発表音源が追加されているということなので、急遽入手しました。
1st Twice Removed From Yesterday(1973年)
2nd Bridge Of Sighs(1974年)
3rd For Earth Below(1975年)
4th Live!(1975年)
5th Long Misty Days(1976年)
の5作品が3枚のCDにまたがって収録されています。しかもCDの容量を目いっぱい使って。これで郵送代を含めても2000円もしないとなると、買わない手はありません。さてワクワクしながら聴いてみるとリマスター効果もなかなかです。前の音が悪すぎたということもありますが。どうやら2007年と2010年にリマスター作業を行ったようです。
今回の「キモ」といえば、なんと言っても未発表音源です。未発表音源といってもシングルバージョンだったり、シングル盤のB面曲だったり(シングルを持っていない人間にとって実質的には未発表音源とも言えますが)、アウトテイクだったりするわけですが、全国5万人のTrowerファンにとってはそれでもありがたいのです。
CD1 #10「Take A Fast Train」
「Man Of The World」のB面曲。変化が激しいリフが印象的なアップテンポなロックナンバー。これは初聴です。いかにもジミヘンフォロワーという感じですが、後半ソロの素晴らしさは目を見張るものがあります。B面にしておくのはもったいない熱演です。
CD2 #5「Day Of The Eagle」
シングル用に編集された音源。シングル用にあらためてプレイしたのものではありません。曲後半が不自然にフェードアウトしてしまいます。不自然と書きましたが、それは原曲を知っているからなのでしょう。
CD3 #14「Long Misty Days」
シングル盤用に編集された音源です。当然、オリジナルより演奏時間が短めです。
CD3 #15「Let Me Be The One」
「Long Misty Days」のB面曲です。これも初出音源と言えましょう。ソウルフルなDewerのボーカルに合わせて、やたらとエフェクターが効いたTrowerのギターがむせび泣きます。まさに慟哭のソロですね。ただ、いかんせんシングル用だけに尺が短い。もっと聴きたいのに…と思わせておいて終わってしまいます。