信州ハンドクラフト手帖
大量生産大量消費の時代をへて、今1品1品に職人の技があらわれている生活上の小物を楽しみながら暮らしている若い世代が確実に増えてきていることを実感させる本である。この本の著者は、少し高価と思われても長く使い込んでいくと自分の歴史とともに時を経ていく道具の美しさにとらわれてしまった人であると思う。古くなっていくとともに気品を増していくようなものたちは木、竹、和紙、陶器、金属など伝統的な自然素材で出来ている。これらの素材で作られた、著者の選んだ品々はこの人の生活空間にこの人の生き方を映し出しているだろう。時を刻んだ民家にこのような品々と暮らしているのではないだろうか。私はこの本の中のノートにとらわれてしまいました。
認知症と長寿社会 笑顔のままで (講談社現代新書)
講談社現代新書の一冊です。
信濃毎日新聞で2010年1月3日から6月29日まで連載された記事をまとめたものだそうです。
ですから、取り上げられる内容は長野県での認知症をとりまく実態といったものですが、結局のところ日本全国で超高齢化が進んでいるわけですから、日本中に普遍的に当てはまる内容になっています。
高齢化と共に増加する認知症の患者、そしてその介護にいき詰まる家族。それを援助しようとする施設・病院などの人々、もしくは地域社会・学校・NPO法人などが具体的な名前を持って紹介されています。
驚くのは認知症の人々、その家族も実名で報じられているのです。
それは、対象が認知症なのではなく、たまたま認知症を持っている「人間」を対象とする取材態度だからできたのでしょう。
ただ、取材の結果を読んでも認知症・高齢化に対する明らかな処方箋といったものはありません。むしろ、我々の心構えというべきもののヒントになるといえる内容が多く含まれています。
「人間力」で闘う 佐久長聖高校駅伝部強さの理由
佐久長聖の生徒の活躍や卒業後の活躍には、何か伝統や環境に恵まれているからというような安易な思い込みを持っていました。
でも、この本を読めば、むしろ後発で恵まれない環境であったものを、様々な努力や工夫で乗り越えて驚異的な成果を出してきたことがわかります。
長距離・駅伝ファンには興味深い、佐久長聖OBのエピソードもいっぱいで、実に有意義な一冊でした。
新海誠美術作品集 空の記憶~The sky of thet longing for memories~
新海誠監督作品の魅力の原点は圧倒的なまでに美しい背景にあると思います。
その珠玉の背景をじっくり書籍の形で眺めることが出来るなんて嬉しい限りです。
収録対象となっている作品は『ほしのこえ』から『秒速5センチメートル』と信濃毎日新聞テレビCM『大切なことを伝える』までと隙のないラインナップ。
ファン必携の画集ですね。
新海誠監督の制作環境も紹介されますからあの背景の美しさに魅せられて自分でも描いてみたいと思う方にとってもその技法を学ぶ上で必読の書ですね。