めぐりあう時間たち (DHC完全字幕シリーズ)
この映画が大好きで購入しました。
驚いたのは、DVDにないセリフが多数載っていたことです。
(この映画は2バージョンあるのでしょうか?)
それはともかく、原作者や監督、脚本家のコメントや、各時代の背景、
俳優たちのプロフィールや、美しい写真なども載っていて大満足の内容でした。
詩的な美しい映画なので、英語学習に役立てるだけでなく、
この映画が大好きな人のための解説本として、持っていてもいい思います。
ダロウェイ夫人 (角川文庫)
土屋氏訳のものを読みましたが、素晴らしかったです。
これから先、これ以上の小説に出会う事がはたして出来るのか?と思えるくらい。
「他人があれこれ言うことなど、みな表面的、みな断片的。心の中でもっと深く掘り下げてみたら、わたしが生と呼んでいるものはいったいどんな意味をもっているのかしら」
「意識」がある人物の中に入り込み、その心情を内側から語った後で、また別の人物の中へ移動するという独特の形式をとることで、人々の内面と、その人が外側からどのように見えているかという、その微妙な「ずれ」の掬い取り方が絶妙で、さすがはウルフと唸ってしまいます。
クラリッサ(ダロウェイ夫人)は周囲からは俗物と思われていますが、本当はアーティストなのだと思えました。
芸術家が何か素晴らしく決定的な瞬間を絵や音楽に閉じ込めようとするように、クラリッサは人々の記憶にいつまでも残るような、そんなパーティを作り上げたいと願っていた。
いつか離れ離れになっていく人達も、「その時、その場所で一緒にいた事」を思い出すことで、それから先の未来でもずっと繋がっていけるように。(そしてその記憶や人々の関係性の中で、自分がいつまでも生き続けていけるように)
残念ながら周囲には出世のための手段と思われていますが…。(涙)
それにもめげず、「だからパーティを開くの」と言い切ったクラリッサの心意気は天晴れです。我が成すことは我のみぞ知る。この精神。惚れます。
6月のある日のパーティでは、思いもかけず30年前と同じく元恋人ピーターや旧友サリーまでもが一堂に会し、皆にとって(特にピーターにとって)忘れられない記憶となったのではないでしょうか。
狂気(正常な人間からはみだした者)を排除しようとする社会に抗議したセプティマス。
彼の人生は決して悲劇ではなかった。狂気に飲み込まれたことも含め、美しいものだった。だけど社会は「狂ったこと=悲劇」とみなす。
彼は叫ぶ。「悲劇が欲しいなら、くれてやる!」
セプティマス、そしてウルフの人生を悲劇とみなすなら、それこそウルフが一番してほしくなかったことなのではないでしょうか?
狂気が見せるビジョンは時に恐ろしいほど美しく、ウルフに作家としてのインスピレーションと、なによりも彼女の生き甲斐である創作の喜びを与えてくれたのですから。
THE HOURS―めぐりあう時間たち 三人のダロウェイ夫人
「ダロウェイ夫人」の執筆を開始したヴァージニア・ウルフは姉のためにティーパーティの準備をし,第二次大戦後,ロサンジェルス郊外にクラス主婦ローラ・ブラウンは夫の誕生祝いの支度をし,現代のニューヨークで,エイズに冒された元恋人の世話をする編集者クラリッサは,彼の文学賞受賞パーティを企画する.時代を超えた3人の生き方が,たった一日の出来事から描き出される.
3人はそれぞれ閉塞感にとらわれながら暮らしている.ウルフは自身の精神の変調に怯え,ローラは完璧であること,善良であることに疲れ,クラリッサは元恋人が病んでいく様を救えずにいた.
時代は違っても,真摯に自分と向かい合う,彼女たちの時間が最後に重なり合う.
めぐりあう時間たち オリジナルサウンドトラック
映画『めぐりあう時間たち』を見るまでは、フィリップ・グラス氏を存じ上げなかったのですが、ライナーノーツを読んでいろんないきさつが分かり、この方もめぐりあうべくしてこの映画の音楽を担当するに至ったのだと・・・ふむふむ。めったに読まないCDの解説、たまには読んでみるべきですね。
作品はクラシックの要素が強く、グラス氏の作品によく見られるらしい「繰り返しの連続」が印象的です。映画を見ていれば「あのシーンで流れた曲だ」と分かりますが、映画を見ないでこのCDを聴いた方は「意味が分からない」「よくあるイージーリスニングCD?」と思うかもしれません。
ウルフが表現した「意識の流れ」を、彼女が入水自殺したウーズ川の流れに置き換えた映像、「それを音楽にしたらこうなりました」という本作は、映画の余韻に浸るためだけに聴くのはもったいない作品でもある。映画を観たのを機に、ウルフの名著『ダロウェイ夫人』を初めて読まれる方も多いでしょう。彼女の人生に思いを馳せつつページをめくる時、初めてグラス氏の思惑を理解できる気がしてならない。
巡り合うよベィビィ (ディアプラス・コミックス)
木下けい子さんの作品は柔らかい雰囲気があるから好きです。
読んでいるうちに頬が緩んでくるというか、「かわいいなぁ」とひとりでつぶやきたくなるような。
酔った受けの子の「はいどうぞ」には悶えさせられました可愛すぎて。
そして木下けい子さん、画力が上がったような…。作画崩壊も気になるほど無いですし、表情の描写に富んできた感じが致します。
買って損は無いと思います。少なくとも私は、「何でもっと早く買わなかったんだろー」と読後にニヤニヤすることができました。