Ho Duniya / ホー・ドゥニヤ
自主流通ということやが各楽器の演奏も明確に聴こえ
音質的にはなんら問題ない
ライヴ感はなく現地の雰囲気も味わいたいひとには物足りないかもしれんが
それがかえって聴きやすさに繋がってもいて
アフリカン入門編には最適なんではないやろか
ラミン本人や女性ヴォーカルによる歌も全曲で聴かれ
アフリカの弦/打楽器もふんだんに使われており
書くまでもなく音楽的にハイレベルなアンサンブルが収録されている
楽曲解説、簡単な楽器の解説がついている点も魅力
マリ・ミュージック
例えば日本のミュージシャンとイギリスのミュージシャンが一緒にレコードを作っても批判は出ないのに、第三諸国が絡んでくるとすぐに「文化搾取」という話になる。ブエナビスタもそうだという人がいるんだから、ブリットポップ・バンドのシンガーごときがアフリカに出かけて、マリの音楽界を代表するようなアーティストたちとアルバムを作れば非難の集中砲火を浴びても不思議はない。
しかし、文化侵略に無関心ないちデーモン・ファンの耳で聴けば、美しくてオーガニックで、萌え立つ生気に魅了されずにいられない音楽である。マリの音楽と銘打ってはあるものの、ロンドンのスタジオで付け足された部分は多いようで、民謡調の歌のバックにテクノ・ビートが流れているのを聴けばこのプロジェクトの趣旨がアフリカ音楽のご紹介でないことは明白だ。アフリカ録音の音源を使い、本人はほんの2、3曲でしかボーカルを取っていないにもかかわらず、ハイファイ&ローテク指向やメロディラインの中にいかにもなデーモンくささを漂わせて、彼らしい作品に作り上げている。覆面プロジェクト、ゴリラズで見せた無責任な折衷主義とは違い、アフリカの音楽と自分の音楽を結びつけたらきっと素晴らしいものが生まれるに違いないというひたむきな思いのようなものを伝えていて、素直に聴ける。もちろん8日間の旅行で撮ってきたスナップ写真を見せられているような気分になる瞬間もある。でも、そんな写真で見てもアフリカの夕日はやはり美しく、旅心をそそられてしまうのだ。
マイナス50℃の世界
55歳にして亡くなった米原真理氏の幻の処女作とのこと。私は本文を読む前に、表紙の彼女の写真、睫毛を凍らせた若々しい姿をつくづくと眺めながら、「サンデー・モーニング」のコメンテイターとして、的確にして極めて真っ当な意見を、ちょっと恥ずかしそうに述べていた彼女の姿を思い出していた。ああ、私達は本当に惜しい人を失くしたものだ。
私は彼女の本は殆ど読んだ。時に辛辣、時に下ネタで笑わせる、しかし、どれも温かで、彼女の誠実な人柄が伝わってきて面白かった。どれもお勧めだが、敢えて彼女の代表作を選ぶとすれば『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』『オリガ・モリソヴナの反語法』『打ちのめされるようなすごい本』の4つだろうか。私はこの4作はそれぞれ二度読んだ。
そんな彼女の「幻の処女作」をどうして読まずにいられましょうか。
正直、内容は薄い。それはこの本が本来子供向きに書かれたものであるから致し方ない。だから万人にお勧めすることは出来ない。しかし私達米原真理ファンは、この本の後彼女が歩んだ道を思い、その道に沿って生きようと決意し直すことは出来る。
繰り返すが、私達は本当に惜しい人を失くした。
マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)
著者の本は大抵は読んでいたつもりでしたが、書店で見て早速購入しました。初めての著作ということですが、極寒の世界の厳しさとともに、異文化を紹介する筆運びのうまさにあらためて感心しました。もちろん各所に埋め込まれた笑いも秀逸です。
厳しい寒さを表現する写真が多い中、和食を求めて、靴を履いたまましゃがみ込んでの炊事シーンの写真が一番印象的でした。