海底二万海里 (福音館古典童話シリーズ (11))
小学校高学年のときに学校の図書館で初めて読みました。私の場合、まずその挿絵に引かれ手にとりました。ストーリーの面白さ、すばらしさは他の方が述べられているとおりですが、ヌヴィル作の挿絵があまりに美しく繊細で、子供心に非常に感動したことを覚えています。エッチングで描かれたものだと思います。表紙絵となっている海の中を潜水服を来た人が歩いている絵や、大きな真珠貝を覗き込んでいる絵などは、見ているだけで本当にわくわくします。
大人になり、この本を「所有」したいと思い購入しました。それだけの価値のある本だと思います。他社からも出ていますが、挿絵の美しさをも味わうという点でこの本の大きさがベストだと思います。買って絶対損はしない本です。ただ書棚に並べておくだけでも満足だと個人的には思います。
海底二万里 (集英社文庫―ジュール・ヴェルヌ・コレクション)
以前にNHKで「ふしぎの海のナディア」というアニメが放送されました。このアニメの原作となったのが「海底二万里」です。このアニメは私の原点とも言えるものだったのでこの原作を買いました。 アニメファンは原作を楽しめるし、原作のファンはアニメのほうを楽しめる事でしょう。
海底二万里は海洋冒険小説ですが、ジュール・ヴェルヌの想像力と知識には驚かされます。時代が変わっても読み継がれる小説はそうないと思います。空想科学小説なんてそれが現実となる時代でも楽しむ事が出来るなんて稀でしょう。ジュール・ヴェルヌはいうまでもなく素晴らしい作家です。
海底2万マイル [DVD]
子どもの頃、夢中になって読んだベルヌの原作とは、ノーチラス号の
形が異なっており、最初にこの映画を観た時には違和感すら感じました。
が、原作の世界を、色彩豊かに再現したこの映画は、ひとつの作品として
観た場合、原作以上のエンターテイメントかも知れません。
大国のエゴに翻弄される小国の悲哀もしっかり描かれており、考えさせ
られる作品だと思います。
海底二万里 (創元SF文庫)
この物語は、1867年という設定である。つまり明治元年。おもしろい偶然の一致だ。
同じく潜水艦の物語に、ブーフハイムの「Uボート」がある。第2次大戦中のドイツ海軍の潜水艦Uボートに実際に乗り組んだ士官が、その体験を交えて描いたフィクションだ。それを読むと、潜水艦生活は、「海底2万里」ほど楽ではなく、上品ではなく、優雅でもないことがわかる。最新の原潜でも、ノーチラス号の優雅さはない。
海洋サーガの先駆として有名な「白鯨」は、モービー・ディックはともかくとして、捕鯨船上の生活はメルヴィルの実体験らしい。「海底2万里」の時代に近い航海の潮臭い実相を伝えてくれる。
海の物語で感じるのは、その時間の長さである。Uボートは出撃すれば2ヶ月ぐらい、捕鯨船は3年ぐらい寄港しない。単調な生活をじっとこらえて、チャンスを待つ。読むほうにとっても、文庫でも上下2巻は、しんどいことである。
その点、「海底2万里」のノーチラス号は、非常に高速で、どんなに深いところにも(まさにオウム貝のように)到達でき、見たいもの、得たいものをすぐに手に入れる。このスピードのある展開が爽快で、何度読んでもワクワクさせられる。
そういう構成との兼ね合いで、物語の各部分は独立している。だから、内容を知ってしまっている人でも、好きなところを読み返して、楽しめる。
メインテーマが海洋の光景、次が潜水艦の驚異。とかく人間同士の関係だけに埋没しがちな日常にあって、「海底2万里」での自然への開かれた眼差しは、とても新鮮だ。
人間は物語の必要に従って登場しているに過ぎない。とはいえ、ネッド・ランドとコンセイユのコミカルなやりとりには吹き出してしまう。
こういうご時世になってくると、ネモ船長は一種のテロリストではないか、とも思えてくる。しかし、19世紀の当時にたちかえってみれば、マルクスの資本論が世に出たのが、まさに本書と同じ1867年であり、ヨーロッパ世界は社会の根底から激動期を迎えていたわけである。社会全体にわだかまる不安などが、ネモ船長の人物造形に反映したともいえないだろうか。
海底2万マイル (講談社青い鳥文庫 (146-2))
子供の頃、わくわくしながら読んだ記憶があり気にはなっていた。
しかし大人になった今、その思い出が否定されそうでなかなか手にはできなかった。こんなので興奮して読んでたのかよ、俺は。が怖くて。
しかしやはり名作は名作。世界中の海を周る旅の行程でおこる様々な出来事は今でも面白く読めるし、またネモ船長の謎は結局明かされることなく、いろいろと想像を膨らませてくれる。
ただこの本自体は少年向けに翻訳しているので、大人の方にはより原著に近い翻訳本がよいのでは。