試練が人を磨く 桑田真澄という生き方 (扶桑社文庫 く 8-1)
プロに入ってから数年の彼は、完全に悪役だった。引退した今、やっと否定的なイメージは薄れ、むしろ中年の星のような存在になった。悪いイメージがマスコミにより植え付けられたのはあのドラフト事件からだった。本書を読んで真相が分かる。彼は、ドラフト当日から数えて100日前から毎朝、毎晩、お祈りをしていたのだと言う。祈りの内容は「僕にとって最高の道をください」というものだった。そして、巨人以外から指名されたときのために大学受験の勉強をしていた。巨人密約説は全くのでっち上げなのだ。誤解を生んだのは、弁明をしないという彼のポリシーによるものだったのかもしれない。その後のスキャンダルのときも彼は弁明をしなかった。そして現役の間中、自分の生き方を貫いた。高校時代、朝5時半に起きてトイレ掃除、グランドの草むしりをして、お祈り、それから練習。それを楽しくやっていたという。そんな彼もプロで洗礼を浴びて、自暴自棄になりかけるが、そんな彼を変えたのは、グランド・キャニオンの大自然だという。仕事に対し努力すること、精一杯頑張ることがプライド、だからプライドを傷つけるのは自分自身でしかないという言葉にはプロフェッショナルとしてだけではなく、桑田真澄という人間の精神的な強さを感じる。
野球を学問する
元巨人エース、
桑田真澄投手。
彼が1年間、早稲田大学大学院で
なにを学び、なにを研究してきたのか
担当教員の平田竹男さんとの対談形式で綴られている。
そこには、なにを学んだかだけでなく、
桑田投手の野球に対する愛情にも似た
熱い思いを、一言一言から感じさせられる。
大相撲の貴乃花親方ではないが、
桑田投手もプロ野球だけでなく、
日本の野球界全体を変えてくれるのではないか、と期待してしまう。
プロ野球引退後、
大学院進学・卒業は
桑田投手にとっては
まだ第一歩目に過ぎないのでしょう。
原監督の引退スピーチ。
「私には夢の続きがあります」
桑田投手もまさに夢の途中のはず。
二歩目の歩を何処に進めるのか、
桑田投手の壱ファンとして楽しみに待ちたいと思う(笑顔)