大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)
とかく、まったりしてたりじっくり考えたりという印象がある日本の小説なのに、この本は、ぽんぽんとテンポ良く、あれよあれよという間に引き込まれて読み進んでしまう、日本の作家にしては珍しい逸品。無駄がなくあとであっと思わせる辺りも憎い。
映画を観たのが本を読んだきっかけだったけれど、この本もビデオもあまり知られていないのが本当に残念。
大誘拐 RAINBOW KIDS [DVD]
日本映画は主役の人がいかによくても
脇役、エキストラに近い役者が下手だと
セリフが耳に残ってしまい映画に没頭できないので
得意ではない私ですがこの作品は大好き。
コメディだということで、最後まで納得して見れます。
さらっと、重いテーマを盛り込んでたり
作品からあふれる「おもしろい映画を作りきろう!」というエネルギーが
さわやかな気分にさせてくれます。
何度も見直しすぎて、樹木希林さん演じるクラさんのセリフ
物まねができるようになりました。
手紙 -殺しへの招待- DVD-BOX
不可思議な手紙から始まる殺人、そして描かれる複雑な人間模様…。夫婦とは、男と女とは、そして人間としての姿勢とは何かを問いかけてくるエロティックで秀逸な内容は一見の価値あり。竹下景子のひたむきさ、初々しさが光る。個人的にはトップ屋のハトリさんが◎。
遠きに目ありて (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
確かにあっと驚くような傑作はないかもしれませんが、毎回よくこれほどの水準をたもてるものだなーと驚かされる内容の連作短編集です。 現在ではあたりまえになってしまった科学的、専門知識をちりばめたミステリーではなく、古典的な安楽椅子フー・ダニットのスタイルで書かれているので、どなたもリラックスして楽しめるでしょう。 難しすぎも生々しすぎもせず、こういう家族的な雰囲気をたたえた質の高いミステリーというのは、あまりにもせちからく暗い当節、望むべくもないのかも知れません。 子供を使った大人向けミステリーというのは、実際には書くとなると相当大変だと思うのですが、これは難しいタイプの内容を見事に生かしきった佳品といえるのではないでしょうか。個人的には第2話と5話がよく出来ていると思います。
これを読んで気に入ったという方には、ぜひとも筆者一世一代の傑作“大誘拐”にお進みください。
陽気な容疑者たち―天藤真推理小説全集〈2〉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
1963年に東都書房から出た単行本の復刊・文庫化。
昭和37年度の乱歩賞の最終候補作に残った作品。著者の長編デビュー作でもある。
作風は当初から確立されていたようで、ユーモアのある味わい、人を食ったような展開、幸せで優しい結末はいかにも天藤調。
ミステリとしてはいささか不満が残る。プロットは良いが、トリックがいまいち。