散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道
硫黄島が太平洋戦争屈指の激戦地であったことは聞いていましたが、本書を読んで初めてどれほどの地獄だったのかということ、そして戦争の行方にいかに重要な意味を持っていたのかを知りました。テレビで若い自衛隊員が「こんな蒸し風呂のようなざんごうにもぐって何ヶ月も戦ったなんて信じられない」と話しているのを見たことがありますが、雨水を唯一の飲料水として生き延び、かつ戦闘を続けていたことは衝撃的でした。(2011年追加:硫黄島に行きました。今も残るざんごうは同様の言葉しか浮かばないほど過酷な環境でした。生きて闘う方がつらかったはずです。日本兵の苦労・苦痛がよくわかりました。同時にそういう状況を作った国の指導者の罪深さを忘れるべきではないでしょう。)
本書が一般の「戦争本」と大きく違うのは指揮官の栗林中将に軸足を置いて描いている点です。この栗林が実に魅力的な人物で、組織の力というものがトップの能力・人柄によってここまで変わるか、という驚きが強く残りました。硫黄島は唯一米側に日本以上の損害を与えた戦場といわれますが、それは栗林が熟慮の末にあえて大本営の方針に反した戦術をとったことが大きく影響していることがよくわかります。なぜそうした判断をとったのかが詳細に書かれていますが、それはとても興味深く、そこらへんの経営書やリーダーシップ論の本よりもよほど有益です。
栗林は冷静沈着な指揮官でありながら、留守宅の小さな子供たちへの愛情や台所のすきま風のことを心配する、よきお父さんとしての顔も家族に当てた手紙の丁寧な記述から浮かび上がります。そうした著者の視点があることで、本書はいっそう読みやすくまた印象深い内容に仕上がったのだと思います。
太平洋戦争に関心のある方にとっては目からウロコの一冊となるでしょうし、まったく関心のないという方にとっても、魅力的な人物と出会う楽しみが得られる良書だと思います。歴史は人が作っているということを改めて実感します。私には忘れられない一冊になりました。
<初回生産限定>はやぶさ 遥かなる帰還 特別限定版【Blu-ray】
ほめようと思えばいくらでもほめられる。が、どうにも感情が動かない。
3億キロのかなたに浮かぶ500mくらいの惑星に、ちゃんと着陸させて、土石を持ちかえるなんて。しかも、計算だけで。そこはほんとうにすごいと思う。
が、映画の面白さとしてはどうなのだろう。
けなげに、孤独に、7年間の孤独な旅を終えて、燃え尽きた「はやぶさ」。そこはうまく擬人化されていて泣ける。が、登場人物に共感しているわけじゃない。登場人物たちの挿話は、なんというか、どうでもいい話ばかりだ。いっそ、ドラマじゃなくて、ドキュメンタリーにしたほうがよかったかもしれない。
乗馬への道〈Vol.12〉私の愛馬・JRA馬事公苑
発行されたのは平成11年ですが、奇しくも「ラストサムライ」競演も
記憶に新しい渡辺謙さんと真田広之さんの乗馬・愛馬についての
熱く濃いインタビューと、(写真はモノクロながら)嬉しそうに
馬を語るお二人の写真や作品中での乗馬シーン写真が掲載されていて
おいしすぎる一冊。お二人の馬に対する考え方の違いも興味深い。
謙さん、まさに「愛馬を語る」(vol.12のサブタイトルは「私の愛馬」)
馬にメロメロな様子が伺えます。(笑)真田さんは、馬術を身につける
こと、技を磨くこと、俳優同士で切磋琢磨していきたいという真摯な
姿勢が対照的です。(いや、別に謙さんが真摯な態度じゃないわけじゃ
ないですよ・・・笑)
他にも馬好きにはたまらない記事満載なので乗馬に興味のある方は
ご一読されてはいかがでしょうか?
kizuna311.com 前を向くカレンダー
被災地外の人たちのメッセージが中心なのかと思っていましたが、
被災地のみなさんのものもたくさんあって、「みんなで前を向いていこう」という思いが
とても強く伝わってきました。
このカレンダーは、投稿されたみなさんが「そのとき思っていたこと、感じていたこと」を
言葉にしているので、永久保存版になると思います。言葉のアルバムですね。
みんなで「寄り添っている」「前を向いている」感覚がすごく沸いてきました。
バットマン ビギンズ [Blu-ray]
劇場版のバットマンを初めて視聴しました。
他の方もレビューされておりますが、世界感が近未来的で結構リアルなデザインと設定です。
バットマンも強すぎず、弱すぎず。
鍛錬により強くなることはもちろん、装備を充実させパワーアップを図ると言うのは超人的、超能力的なパワーアップよりも良い意味でリアリティと緊張感を与えてくれます。
凄い人だけど、決して人間を越えた者ではないというのがこの作品の魅力かもしれません。X-MENやスパイダーマンとは違ったリアル思考のヒーローアクションだと思います。この手の作品としては結構大人向きかもしれません。
子供の頃アニメ版や実写TV版のバットマンを見て、ブルースはイカスおじさまってイメージがあったため、今作はどうも若造くさくてちょっとちがくない?と思いました。しかし、バットマンの最初の物語として考えれば、納得の行く設定かと。
マニアの方には多々不満があるようですが、素人目から見て十分面白い作品です。制作時期を考えると映像もかなり綺麗な方だと思います。
忍者関係の設定で思ったのが、ロボコップ2の時もそうですが、外国の方から見ると、忍者をアサシン(暗殺者)と言うよりも、一種の魔法使いや超人に近いように思えて想像が膨らませすぎなような気がします。(それでも技術、演出と言い切り、結構うまく絡ませていたと思いますが)
これは日本人が外国の錬金術師や、西洋の騎士などに現地の人の感覚にはない、ちょっと夢、イメージを抱くのと同じかもしれません。