Mozart the piano sonatas
ピリスは、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集を2つ出しているが、
この全集は 2度目の録音で1990年のもの。
最初の録音は 1974年の録音で、コロンビアが
モーツァルト生誕250年記念BOX モーツァルト:ピアノソナタ全集 を出している。
キータッチや音の粒のそろい方は、最初の録音の方が優れていると思う。
だが、2度目の録音と比べるとあっさりし過ぎかな。
どちらも、ピリスの演奏は、細部に至るまで繊細でいて大胆。
音の粒がひとつひとつ軽やかで弾むようなリズム感は変わらない。
右手と左手の違いを、メロディ部分と伴奏部分といった単純な雰囲気から
完全に解放してくれて、左右の手が競演かつ協演しています。
まるでオーケストラの演奏を聴くみたいで、主旋律、副旋律、伴奏部が
フレーズごとに響きや、色彩、リズム感があって交響曲のようだ。
でも、がつがつしていなくて、初期の作品は少年のような初々しさと遊び心が感じられたり
後期は深みが増し、より内面的な響きがして、癒しモードも高まります。
有名な第11番の第3楽章の「トルコ行進曲」は、
テンポは速すぎず、軍楽隊が行進するテンポで、雰囲気がよく出ている。
友人の表現を借りれば、オスマントルコ軍が押し寄せてくる
不安や好奇心なんかが音符に込められていて、
ピリスはとても上手にそれらを表現して描写的な味わいを出している。
これは一例ですが、実に表情豊かでオリジナリティに溢れているのに、
考え抜いて人工的に作られたような空気が全く感じられない。
ピリスの演奏は、天衣無縫というか、感覚的、本能的に音楽が溢れ出していて、
音の響きも流れも実に自然です。これは天性のものなんでしょうね。
木漏れ日で七色に輝く光の揺らぎを楽しんでいるような気分にさせられました。
ピリスのロマンティックなショパン、特にショパン:夜想曲全集の演奏に惚れて、
このモーツァルト全集を入手しましたが、絶品です。録音も申し分ありません。
愛聴盤になること間違いなしです。
※ Amazon USA で購入
ショパン:夜想曲全集
ネット上で第一番を視聴し、気に入ったので購入しました。
でも21曲全てを聴いてみると、他の方も書かれているように厚化粧感が
ところどころに見えます。
ルバートの掛け方にも独特な感じがあり、ここで賛否が分かれるような気がします。
ちょっと古いのですが、ワイゼンベルグのノクターンが僕には今のところベスト
です。
どちらを勧めるか?と聞かれたら、ワイゼンベルグを勧めたいです。
あくまでも、僕個人の解釈ですが…
モーツァルト生誕250年記念BOX モーツァルト:ピアノソナタ全集
良い演奏です。演奏、音質(デジタル録音)、値から判断すると、モーツァルトのピアノソナタ全集ではこれが一番おすすめです。
幻想曲 ハ短調 K.475を、第14番ハ短調ソナタの冒頭に配置しているのは、モーツァルトの楽譜に忠実で良く、続く14番ソナタの響きの印象も変えてしまうほどでした。
ソナタではないですが、特に良かったのが、併録しているロンド イ短調 K.511。
ショパンの曲と言われても勘違いしそうな、半音階的な動きや装飾音が多い、陰影に富んだ曲です。
ソナタ形式提示部の繰り返し指示を守っているだけでなく、変奏曲形式の曲についても、全ての変奏を繰り返しているのは、くどいと感じる向きもあるかもしれません。
例えば第11番第一楽章の変奏曲は、演奏時間を15分くらいかけています。
皆さん書いている通り、収納がペラペラの不織袋なのは残念です。
輸入盤BOXものでよくある、紙ジャケットに入って裏側に曲目が書かれている形だと、まだ使いやすかったのですが、そのような形ですらありません。いちいち解説を見ないと、どの曲かわからないのは不便です。
ただ、あえてバラ売り盤で購入するほどではありません。