努力論 (岩波文庫)
露伴の文章は現代人にとって難しく読みにくい。
私などは、理解するのに辞書を引きながら読んだりしたものだ。
だが、そうした苦労をして読むのに値する本であると自信を持って推薦できる。
内容についてはここでは述べない。ぜひ皆さんが手にとって、
じっくり読んで味わってほしい。
幸田露伴の語録に学ぶ自己修養法
幸田露伴の「幸福論」から渡部昇一氏が選んで自らの体験、考察を述べている。「惜福、分福、殖福」の説明とその大切さから書き出しは始まるのであるが、この章を読むだけでも十分に人生を高めてくれるものと思われる。全編にわたって人が志を高く持って生きていくことの大切さを述べており、人生や仕事で悩み多い中高年世代の方々が読んでも示唆を受けることが多いと思う。小生はこの本を座右に起き、すでにかなりボロボロになっているがときどき見返しては勇気づけられている。約5−6年前から慕う教え子の卒業時の贈り物としている。
五重塔 (岩波文庫)
オースティンやエリオットがエゴイズムをテーマに作品を書き、日本では夏目漱石がエゴイズムをテーマに作品を書き上げていますが、それらは男女の恋愛問題からエゴイズムをとりあげています。
露伴のこの作品からは、単にエゴイズムの問題というよりも、エゴイズムや義理を越えた何か(の力)を感じます。
嵐が去ったあとに堂々と聳え建つ五重塔の姿がすべてを物語っているような気がします。
それにしましても露伴(や荷風)の文章には品格がありますね。
五重塔 [DVD]
秋原組作品の佇まいは嫌いではない。本当はもっとメジャー系作品を手掛けてもよさそうなものだが、日本文学+デジタル撮影にこだわる姿勢が買える。本作もガッツ石松の他、竹脇無我、小倉一郎、久遠さやかといったメジャー系俳優を集めて作られており、最後までストレスなく観ることができた。しかし、である。あまりに照明・音声がなっておらず、これにはちょっとビックリしたぞ(笑)。ガッツ石松と娘役・飯田圭織の焼き場でのシーンではライティングが主演に届かず、物凄いことになっていたり、小倉一郎との対決シーンでも影が出まくりで・・・。音声も拾えないセリフがあるなど、これが2007年度の作品か?と疑うレベルだったのは残念だった。予算が少ないことと、きちんとシャシンを仕上げることは別である。青森ロケでコストをかけすぎたのかも知れないが、ここはキチンとして欲しかったなあ。俳優では石松の迫力が気に入ったのと、久遠さやかのイヤな女役が光った。久遠は「深呼吸の必要」と並ぶベストアクトだと思う。特典映像には舞台挨拶と石松らのインタビューを収録。竹脇無我は衣装を付けたままでインタビューに答えていたが、齢を重ねた風格があるなあ。千利休の三船を彷彿させる演技も見事だった。俳優陣の頑張りは十分わかるが、内容は不十分であり、総合的には星3つ。