ナッシュビル [DVD]
映像はまぁこんなものかのレベルでけっしてほめられるほどの良さはありません、ワイド画面に登場人物の多さ・編集のうまさは楽しめますが、万人に鑑賞を薦められる娯楽映画ではないのはもちろんロバート・アルトマンが監督だからです、 熱心な映画マニアが映画を反芻して楽しむには最適な作品ということになるでしょう、
ずっと見たかった作品をこうして新品のディスクで鑑賞できたのだからもう少し満足したかったのが正直な感想、 あらすじと先行レビューからこれはきっとオープリーで延々と歌うシーンがクライマックスとかってに思い込んでいたところ、実際のオープリーのシーンはたったの15分にがっかり、
映画ファンは以下のようなことにはあまり気づかないのかもしれないが、オープリーのステージにいるバンド・メンバーのしらけた顔としらけた演奏が彼らミュージシャンたちが本作への出演を喜んでいないことを明確に物語っています(レスポールを弾いているギタリストはすごい上手!)、
オープリーのステージというのは日本で言えば正確な例えではないがあえて例えれば大相撲本場所の土俵のようなもので「選ばれた者」だけが登場を許される場所、 そこへいきなり素人が大きな顔をして歌っているのだからまぁ、面白くなくて当然、それもわざわざリハーサルを少ししかさせずに撮影したというのだから彼らプロのミュージシャンシップとプライドを傷つけたことも間違いなし、クラブで演奏するミュージシャンたちは逆に生き生きとしたいい演奏をしているですがね、フィドル名人の映像が見られたことは本作最大の収穫でした、
かつてアントニオーニ「欲望」に出演したザ・ヤードバーズはアントニオーニについて「キザなインテリ野郎」と感じたと発言していたが、当時イギリスで大人気だった彼らいわゆる低学歴のチンピラ出身のロック・バンドからすればよその国に来てあーでもないこーでもないと理屈だか屁理屈だかをこねくり回しながら映画撮影をしているアントニオーニの正体のようなものについて音楽家らしい直感が働いた名発言だとおもう、本作についても撮影当時のナッシュビルのミュージシャンたちがアルトマンについてどう思ったことやら、アルトマンは編曲よりも髪型に時間をかけたなんて間抜けな発言を解説でしているわけで、
出演している俳優を目当てに時々アルトマン映画を見ているのだが、いつも感じる投げやりな印象は上記の発言から察するにぜーんぶ狙ってやっているということなんでしょう、
カントリー・ミュージックを扱った映画とすればイーストウッド監督主演「センチメンタル・アドベンチャー」(どさ周りのカントリー歌手がオープリーを目指すロード・ムービー)とシシー・スペイシック主演「歌え!ロレッタ 愛のために」がやっぱり一番でしょう、本作は指摘するまでもないが良くも悪くもアルトマン映画でありカントリーミュージックはたんなる材料です、先の2作品のような音楽への愛情こもった映画を期待するほうが間違っているのでしょう、
役者たちも素人にしてはなかなかいいのどを披露しているが、まぁこれもいわゆる余技の範疇、 本作でカントリー音楽に興味を持った人は現在では2枚組・3枚組のベスト盤やコンピレーション・アルバムが本ディスク以下で入手できるのでぜひ聞いてみるといいでしょう、 「アイム・イージー」にしてもいわゆる一発屋レベルであることがすぐ理解できるはず(事実キース・キャラダインはミュージシャンとしては本当に一発屋だった)、
冒頭の建国200年を祝う歌のレコーディング風景が可笑しい、録音を邪魔しているのがマスコミとヒッピーという描写が実に可笑しい、アメリカのベトナム戦争遂行を邪魔したのがマスコミとヒッピーに代表されるディレッタントという事実を揶揄しているのだとおもう、ご丁寧なことにゴスペルを歌う黒人たちの録音が快調に進むシーンと交互になっているのだから、
最後のパルテノン前のシーンが始まるときに大統領候補のスピーチが流れるのだがそれがなかなか傑作なので以下詳解してみる、
",,,wiling to battle vast oil companies, eliminate subsidies to farmers, tax change, abolish the elctoral college,
change national anthem, and remove lawyers from government, especially from Congress,,,"
これが日本語字幕では「石油会社と戦い、農民への助成金を撤廃し、教会に課税し、間接選挙を廃止します、さらに国歌を変え、議会から弁護士を排除します」、
どうです、凄いでしょう、どこをどう好意的に読んでも典型的なアカ発言です、赤狩り時代なら速攻でFBI監視下、聴聞会に呼ばれるのは時間の問題というまさに正真正銘の非米anti-American発言です、
解説すれば、国の基幹産業である石油を蔑ろにして(大企業怨嗟)、 国の基礎を成し独立した地主層である農民を排除し(地主怨嗟・farmerには小作層は含まれない)、 信仰の尊さを唾棄し(宗教の否定)、 大人口では実現不可能な直接選挙をおこなうことで一部の人間の独裁を可能とし、それに相応しい新しい国歌をつくり、そしてアメリカ建国の英雄たちがみな弁護士出身の一流の法律家であり建国200年間の国家形成も運営も法律を遵守することで守られてきた歴史を否定したい(法律の素人が己の独裁権力を自由に行使できる体制を望むということ)、 と言っているわけです、 選挙活動がおこなわれているのならほかの候補も登場してしかるべきなのに本作には上記のような発言をする一人の候補しか登場しないことがアルトマンの正体を物語っているともいえるでしょう、
シックス・デイ デラックス版 [DVD]
近未来にクローン技術が完成されたという仮定の基で展開していく映画。近年話題となっているクローン人間の問題を取り上げている。
クローンの(主にクローン人間)技術は医療の発展に役立つなどという言い訳をする科学者もいるが、クローンされて創られたクローン人間も一人の人間であることを認識しなくてはならない。生み出され生きている以上、意志もあるし生きたいとも思うだろう。そんなことも考えられない科学者達に怒りを感じる。
現在のクローン技術では完全なクローン人間を創り出すことは不可能である。クローンで生まれた個体はオリジナルの個体の年齢を超えることは出来無いし、更にクローンの個体は必ず先天性の欠陥があるという。クローンとは技術競争だけに囚われた科学者達の狂気!!の技術なのである。一人の意志ある人間をモルモット(オリジナルの個体の予備という考え方等)として、又は近いうちに死ぬことが分かっていながら(欠陥等)生み出そうという考え方に対して他の人はどう思うだろう、とそんなことを感じる。
いろいろとクローン人間について再認識させられる作品だった。
バックドラフト [DVD]
難しい炎の表現を実写と合成で巧みに表現されている
しかし、内容と比べてそれはあくまでもおまけ程度と考えても良い
なぜならこのテーマは、仲間の絆なのですから。
消防士という危険を分かち合う仲間の絆と
仲が悪そうで、実はいつも心配しあう兄弟の絆が
とてもわかりやすく表されている。
一人っ子の多い今、兄弟を知らない人には迷わずお勧めします!
バックドラフト 【Blu-ray ベスト・ライブラリー100】
主人公の苦悩と成長、家族の歴史、兄弟の物語、放火事件の真相を探るサスペンス、それにハンス・ジマーの音楽(某TV番組のテーマ曲で有名になりましたね)、猛火の中で常に死と隣り合わせの奮闘をする消防活動のアクション・シーンの凄さという見逃せないポイントがてんこもりでありながら、破綻をきたさない展開の素晴らしさ。そして、我々の胸を一番熱くするのは、過酷な任務を誇りに思う消防士たちの矜持と彼等への敬意である。インファナル・アフェアもそうだったが、殉職者の葬儀がラストに来る映画に駄作はなく、本作も例外ではない。バックドラフトという言葉を覚えたのも、そもそも消防士の活躍の実際を映画で体験したのも、本作が初めてであった。そういう意味で忘れられない映画である。そして、若手俳優を支える、ロバート・デ・ニーロとドナルド・サザーランドの演技の凄み。この二人の熱演も本作の価値を高めている。是非多くの人に観てもらいたい映画の1本である。
メリー・ポピンズ ― オリジナル・サウンドトラック (デジタル・リマスター盤)
ディズニーが映画化したくてたまらなかったメリーポピンズ。10数年の交渉の後に原作者にYesと言わせたのは、シャーマン兄弟が取り掛かっていた曲を聴いたときでした。
メリーポピンズらしいメリハリの利いたメロディーは2歳半の娘の大のお気に入り。しかし親をしても楽しめるのは、メロディはもちろんの事、その秀逸な歌詞です。(英語の歌詞カードがついています)
ジュリーアンドリュースがアカデミー賞主演女優賞を受けると共に、最優秀音楽賞も受賞したメリーポピンズ。我が家では"must have"の一枚になりました。