スター・トレック:Q ボックス [DVD]
スタートレックの新シリーズが成功したのは、やはりQと言う設定にあったと思います。創作者ジーンロッデンベリーの意図を最大に汲んでいると思われます。そのQの出演作の全てが見られるのですから、ダブりを恐れず買うしかない。オリジナルシリーズに『ゴトス星の怪人』がありますがQの原型でしょう。同じくオリジナルのセカンドパイロットの『光るめだま』とBOX収録の『死のゲーム』の類似性。オリジナルの2作品も一緒に収録して欲しいぐらいです。未見の方には、Qの子供のような悪ふざけと神の如き行いの絶妙なるバランスを堪能していただきたい。笑えるストーリィーと考えさせられる話が渾然一体となったこのBOXをどうぞ。
フィラデルフィア管弦楽団の首席奏者たち アンコールVol.1&2
さすが名人ぞろいのフィラデルフィア管弦楽団である。録音された時期が1960年代前半というのがまた凄い。現代のソリストでもなかなかこの高みに達するのは限られているのではないかと思ってしまう。バイオリンのアンシェル・ブラシロウの素晴らしいソロで始まり、どの楽器も十分な名人芸を聞かせてくれるが、なかでもトランペットのギルバート・ジョンソン、ホルンのメイソン・ジョーンズ、ファゴットのバーナード・ガーフィールドのソロは選曲の良さもあって出色の出来ではないかと思う。ギルバート・ジョンソンは楽々とノーミスで難曲を吹ききっているし、メイソン・ジョーンズは速いパッセージと高音域の豊かな音量で魅了する。バーナード・ガーフィールドは20世紀最高のファゴット奏者の一人ではないだろうか。高速パッセージを何事もないように楽々と演奏している。ファゴットソロは録音そのものが少ないのでこの演奏は貴重だと思う。
フィラデルフィア管弦楽団の首席奏者たち-モーツァルト:管楽器のための協奏曲集
フィラデルフィア管の音はアメリカの楽団で弦の響きが美しいので一番好き、モーツァルトなんか最高だろうなと思ってた… ここまで優美な演奏だとは想像しなかったので呆気に取られました。よく聴くベーム&ウィーンと多少の表現の差こそあれ良い勝負… 押し付けがましくない心地好い演奏ですね。特にファゴット協奏曲は良い… こんなに軽く上品に吹けるものなんですねえ、慎ましやかでは有りますが大した名人芸です。二枚目は更に上品で地味な通好みのモーツァルト…熟睡できます(笑)
三枚目のホルン協奏曲全曲は、ホントに素晴らしいフィラデルフィア管らしい明るく美しい、尚且つパワフルなモーツァルトが聴けます。この曲はいつもはカラヤンとデニス・ブレインの共演盤で聴いてますが… ブレインは「えぇっホルンだよね?」って驚きの滑舌の良い正確さで音色も抑制され美しい演奏とすれば、メイソン・ジョーンズは「あぁーホルンだあねえ」ってたっぷりとしたホルンの響き全開で力強くおおらかな演奏です。
PATIENT 14 戦慄の人体実験 [DVD]
実際に行われた人体実験の恐怖を描いたサスペンススリラー、との宣伝だが、にわかに信じがたい内容。全世界で多数の死者を出した遺伝子操作を利用した、極秘の実験と勢力争いをテンポよく描いてゆく。私の好きな心地よいテンポだが。
FBIだ、国防総省、政府高官、製薬会社がからむ勢力争い。その中で行われた「極秘にされていた国家的陰謀」と言われているが、事実そうであったらもっと怖い・・・・。そんな感じです。
暴漢に襲われ、聴覚異常と精神異常を発症するライザは、この聴覚異常の治験に参加する:それが「国家的謀略」とは。マウスでの実験で、ほぼ全数の検体が死亡するこの治験薬を、権力欲・金銭欲に虜にされた政府高官達、医師達が人体実験を行うと言い出す。16名の治験者のほぼ全数が自殺、事故死、などで死亡してゆく中、ライザは運良く生き残る。聴力が回復するのと引き換えに、別の聴覚異常が発症する。「極めて微細な電磁波の検知により、相手の頭脳の動きが読めるようになる」と言うんだから、FBIや政府高官が喜ぶのは当たり前。そのため、ライザは国家公務員に採用され、「相手に悟られず種々な秘密を取得する仕事」に従事する羽目になってしまう。
今は遺伝子組換えあり、何でも有りの世界だから、これの実際に起こった事件かもしれないが、政府高官、FBI,製薬会社、医師等々の権力欲・金銭欲、謀略に囲まれた世界が醜い。
ライザは、異常聴覚をコントロールする銀製のイアリングを与えられ、それを活用して、この泥沼を生き残る。
FBIの捜査官に同様の能力を与える別の実験には、全検体が死亡。それを知る政府高官の暴挙。
私は映画自体より、タイトルにあった「実話を元にした映画」と言うせりふに一番の戦慄を覚えました。何でも有りの世界です。関心のある方は是非ご覧ください。