アフガニスタン―戦乱の現代史 (岩波新書)
アフガニスタンは9/11のテロとそれに対する国際的な報復攻撃以来アルカイダの現在まで続く報復とともに世界の注目を集めているが、それまではほとんど世界の関心外にあったといっても過言ではない。日本とも過去の接点が極めて少ないこともその傾向に拍車をかけてきた。アフガニスタンは過去の列強の干渉と他民族国家であるために、現在に至るまで独立国としての民族意識が育つことがなく、その弱点を周囲諸国のの利害関係によって利用されてきた。この弱点を今後も抱えながら運営していく困難さがよく分かる構成となっており、簡潔にアフガニスタンの問題点が理解出来る。タリバーンが実体はほとんど空虚な組織であり、パキスタン軍情報部によってパキスタンの利益のために操作された内幕など興味ある!指摘も多い。欧州の美術館でレンブラントやバーミエールなどの名画を見て、青色の発色の見事さに感銘を受けるとき、その青色顔料が世界でアフガニスタンでしか採れないラピスラズリであることを思うと、アフガニスタンの美術史上の貢献にも思いを馳せることが出来る。アフガニスタンを簡潔に知るための好著である。
知ってほしいアフガニスタン―戦禍はなぜ止まないか
レシャード・カレッドさんはアフガニスタン出身の日本人です。
この本は、レシャード・カレッドさんの故国、アフガニスタンについて教えてくれる本です。
アフガニスタンについて教えてくれる本ですが、レシャード・カレッドさんという人がどんな人かを、まず、教えてくれます。
読んだ人はきっと、このレシャード・カレッドさんの魅力の虜(とりこ)になるでしょう。
すると、レシャード・カレッドさんが教えてくれるアフガニスタンの歴史、そして現状が、ひと際、胸に迫ってくるのです。
同じことを学ぶにしても、はやり、誰から学ぶのかが、大切な問題です。
この本が、改めて教えてくれました。
レシャード・カレッドさんは、たぶん、静かだけれど、底が熱い人だと思います。
アフガニスタンに関して、ある程度、知っておかなければならないという事情があったので、たまたまこの本を手にしました。
今後、アフガニスタンに関する本を何冊も読んでいくことになるでしょうが、この本が最初の1冊であったという偶然に、感謝します。
ただ読んでいるだけでなくて、何かしなければならない、居ても立っても居られない気持ちになってきます。
アフガン [DVD]
雨のなか、恋人、家族が出兵する若者たちと最後の別れをしている。
若者たちは過酷な訓練を突破して、第9中隊に配属される。
輸送部隊の安全を確保する為、山岳地帯を巡回するのだが、異教徒の聖地を死守せんと敵も攻撃を仕掛ける。
前半は訓練の過酷さ、味方同志の小競り合い、女など、ありがちなストーリーだが、
飛行機がバズーカ砲で撃たれて墜落爆発炎上あたりから、状況が激しくなり面白くなる。
戦車で悠々と走っていても、山頂からバズーカ砲で狙い撃ちされるシーンは、
本気でやっているとしか思えない迫力満点だ。
しかも、後半はターバンを巻いた異教徒達が、撃っても、殺しても、攻めてくるのには戦慄を感じる。
第9中隊は全滅寸前で・・果たして帰還できるのか。
事実に基ずく話だから、リアルに伝えるロシアの意気ごみを感じる。
なお、ストームゲート [DVD]もアパッチが活躍します。
こちらも、内容はやる気充分なロシア映画です。
先ず説明書をダウンロードするのには驚かされるが、安いので納得するしかない。
内容はというといたってデルタフォース。以前と違っているところは敵のひとりが撃たれると、その仲間が自分に向かって撃ちまくるということ。自分は超人ではないので正面きって戦えない、だから無人偵察機が非常に有効である。あとやはり敵さんはおバカさんですから、星三つ
アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ
映画では、主人公(実際にアフガニスタンの女優)が祖国の現状に改めて愕然とし、動かし難い現実に翻弄され複雑な嫌悪感を抱いていく過程を観た。映画の最後にある台詞のように今すぐブルカを脱ぎ捨てて逃げ出したいと、観ている方もそんな衝動を覚えるほどだった。
この本を手に取ったのは映画を観て、これまでと違う切り口からアフガニスタンを知ることができると思ったからだ。しかし同映画の監督でもある著者が著す国は、映画でデフォルメされたものでもなくルポで強調される現状の悲惨さでもなく、アフガニスタンの社会とそれを取り巻く国際情勢、そして毎日毎日くり返される日常である。それらが、緻密な下調べと出来る限りの偏見を取り除いた語り口で実に淡々と語られている。
何をもってしても禁じ得なかったアフガニスタンの実像は「恥辱の余り崩れ落ちた」仏像が象徴的に物語ってくれる。