イスタンブール・マンボ(紙ジャケット仕様)
《中近東》をイメージして作られた、あの《ムーンライダーズ》の初期の傑作です。全曲、粒揃いの名曲ばかりで、今聴いても、非常に素晴らしいです。私が初めて、このアルバムを聴いたのは、確か中学3年生の時、1982年だったと思います。あれから27年、いろいろありましたが、なんか懐かしい想い出になってしまいましたね。私はこれからも、死ぬまで、こんな感じで生きて行くのでしょう。聴きながら、自分の人生に想いを馳せてしまいました。《ノスタルジック》な味わいが心地よい、傑作アルバムです。オススメ。
イスタンブール―世界の都市の物語 (文春文庫)
本書は、イスタンブールを様々な角度から迫った作品です。
もともとは世界の都市シリーズの一環として出版されたものの内の一冊でした。
時代範囲はローマ時代末期の遷都、ビザンツ帝国時代、オスマン帝国時代を扱っています。首都の地位を失ったあとの展開についての記述がないのは残念です。
しかしながら、時系列をもとに各地区の歴史、文化書く観光名所についてのあれこれなどなどを楽しく紹介してくれます。
読んでいて引き込ませるものになっているのは、まさに陳舜臣氏の手腕なのだと感じさせます。ビザンツ帝国、オスマン帝国時代、イスタンブールは首都でその国そのものと思わせてくれます。これらの国家の歴史がイスタンブールと密接に結びついています。
トルコに旅行する人、トルコについて関心を持っている人、トルコ旅行して後で確認をしたい人・・・トルコに多少なりとも興味を持っている人は読んで損はないと思います。
面白いのは陳氏ならではの中国との結び付け方です。144ページ以降のトプカプ宮殿を北京の紫禁城の構造と似ていることを指摘しています。興味深い発想です。
最後に用語について。最近の学会ではオスマン・トルコは「オスマン帝国」、スレイマンはスレイマン大帝となっています。著者の陳氏はこのことには恐らく注意を払っていたはずなのですが、以前からある呼称を使っています。意図があるのかもしれませんが、今現在の用法としては必ずしも正しくありません。