四国の伝道師つ~ちゃんの栄光のルーム

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谷崎潤一郎「痴人の愛」より ナオミ [DVD]
この映画(以下『ナオミ』と記述)を思い出す時、かつて大映で製作された『痴人の愛 』を思い出す。こちらは有名女優Kを主役に新劇の重鎮UやMを配したそれなりの作品である。その他にも有名女優を起用した『痴人の愛 』が何本かある。しかしながら『ナオミ』はそれら前述の作品にはない一種独特のムードがあり勝るとも劣らない忘れがたい作品である。それは水原ゆう紀という女優の持つ実存感が作り上げているのだろう。現在水原ゆう紀の活動は不明だが心に残る女優である。

細雪 [DVD]
四月、日本的情緒溢れる桜の季節である。
そして、満開に咲き誇る京都嵯峨野の桜と、4人の女優たちの息を呑む艶やかさで始まる、そこはかとない優美で絢爛な世界と言えば、今作である。
谷崎潤一郎の文学世界を市川昆が見事に映画化、他のレビュアー諸氏がこぞって賞賛する通り、四季の移り変わりを捉えたカメラ、戦前の関西芦屋の名家の人々の閑静な佇まいと品位、流暢な関西弁と、本当にこの映画は美しい。
そして、極めつけのスタイリッシュなモダニストである市川昆は、クローズアップの多用で、四姉妹の微細な感情の機微、確執、攻めぎあいをスリリングに描く。
そのケレン味と悠然さを兼ね合わせた演出に、観る者は、ただただ陶酔、眩惑させられるのみだ。
豪華俳優陣による演技のアンサンブルも見応え十分。
主演格の佐久間良子のしっとりとした大人の魅力も素晴らしいが、吉永小百合の奥ゆかしさの中での芯の強さと一瞬のしたたかさが絶品、この人気女優が、実は紛れもない演技派である事が分かる。
男優陣の石坂浩二と伊丹十三の養子らしい押しの弱さと、打って変わっての狡知ぶりも面白い。
純文学の映画化と言う事で敬遠される向きもある様だが、映画ファンは、新旧の「神家の一族」程度で盛り上がる事なく、この極めて日本的な傑作を堪能して欲しい。

ドラマCD 文豪シリーズ 不良文豪とホスト
待ちかねていた3作目。実際の坂口安吾は、かなり八方破れな人だったようですが、こちらのシリーズでもなかなか豪快です。声が立花さんというのが意外でしたが、さらりと危険発言かましたり、P音連呼したり、突然キレたりするキャラが、結構はまっていました。もちろんキャラを誇張しているのは承知ですが、案外実際の坂口氏もこれくらいは、なんて……いやいやいや(笑)さりげなく挿入される実話も楽しみの1つです。惜しむらくは、坂口氏が豪快でマイペースな分、中原・谷崎両氏が振り回されて、少々存在感が薄くなってしまったところ。特に「取材旅行」のあたり。中原氏はツッコミに回るとしても、谷崎氏は、1枚目の変態チックな部分をもっと強調してもよかったと思います。そういう意味で星4つ。でも聴いてみる価値は充分アリです!次回作はタイトルから察するに志賀直哉登場かな?楽しみです。

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