春琴抄 (新潮文庫)
―九歳より盲目になり、それまでしていた舞踊を断念したが、琴の天分の才能を見せつける春琴。春琴より四つ上で彼女の補助役の佐助は、春琴に親愛の情を持ち、春琴より琴を習う。
師の真似事をした春琴の暴力的な教えに恨みを持った弟子の利太郎が、熱湯により春琴の顔を汚す。美しい春琴を心に留めたい佐助は、自らの手で己の両目を潰し、盲人となる。しかしそれにより内界の眼を手に入れた佐助は、真なる意味で春琴と二人だけの世界に入れた心地を感じ、さらに春琴の美しさに惚れこんでいき、生を終える―。
この作品で即座に想起するのが、ソポクレス『オイディプス王』や、シェイクスピア『リア王』などである。「盲目の逆説」という文学の代表的なる主題。それを大谷崎が、日本語の極致とも云うべき流麗なる饒舌体の美文で、つらつらと書き連ねていく。区切りの○から○の間を、読者は呑まれるように一息で読んでいく。本来句点があるべき位置に無く、通常二、三、或いは四にもなるであろう文章を、一つの文章として、春水の流れの如く書き流す。無駄を排したが故にこのような短い作品に収められたのであろうが、まさに芸術的というのはこのようなことだと深く頷くことができる素晴らしき一作。この絵巻のような作品をたった三百円で堪能できることは至極贅沢だ。
師の真似事をした春琴の暴力的な教えに恨みを持った弟子の利太郎が、熱湯により春琴の顔を汚す。美しい春琴を心に留めたい佐助は、自らの手で己の両目を潰し、盲人となる。しかしそれにより内界の眼を手に入れた佐助は、真なる意味で春琴と二人だけの世界に入れた心地を感じ、さらに春琴の美しさに惚れこんでいき、生を終える―。
この作品で即座に想起するのが、ソポクレス『オイディプス王』や、シェイクスピア『リア王』などである。「盲目の逆説」という文学の代表的なる主題。それを大谷崎が、日本語の極致とも云うべき流麗なる饒舌体の美文で、つらつらと書き連ねていく。区切りの○から○の間を、読者は呑まれるように一息で読んでいく。本来句点があるべき位置に無く、通常二、三、或いは四にもなるであろう文章を、一つの文章として、春水の流れの如く書き流す。無駄を排したが故にこのような短い作品に収められたのであろうが、まさに芸術的というのはこのようなことだと深く頷くことができる素晴らしき一作。この絵巻のような作品をたった三百円で堪能できることは至極贅沢だ。
細雪 [DVD]
巨匠市川崑が谷崎文学をどう理解し、それをどう映像美として実現した
のかが問われるのだから、こういう作品こそブルーレイによる発売が待た
れるはずだのに、いっこうにその気配がない。
待ちきれないので北米Criterionのブルーレイ版を買ってしまった。ファ
ンの皆さんは関心があると思うので、ご参考までに報告しておきます。
タイトルはThe Makioka Sisters。封入されていたブックレットの解説に
よれば、北米版のアスペクト比はオリジナルと同じ1.85:1。音声はモノラ
ルだがサウンドトラックから 24bit でリマスターしたとのこと。映像につい
てもオリジナルのネガから時には手作業もまじえながら入念にリマスター
したとある(英語なので解釈に間違いがあればご容赦を)。
個人的感想だが、やはりブルーレイは美しさがちがう。着物の柄や女優さ
んたちの肌などの再現がとても精細で、ため息がもれるほどだ。さすがは
Criterion。ブックレット(もちろん中身は英語で、Audie Bockさんという
日本映画の専門家による解説もなかなか読みごたえがある)の装丁も新潮
文庫のそれを思わせる品の良さである。
日本映画の至宝ともいうべき作品だのに、米国に先を越されるとはなんだ
か情けない話だ。東宝さんよ、もっとファンを信じてくれ。
のかが問われるのだから、こういう作品こそブルーレイによる発売が待た
れるはずだのに、いっこうにその気配がない。
待ちきれないので北米Criterionのブルーレイ版を買ってしまった。ファ
ンの皆さんは関心があると思うので、ご参考までに報告しておきます。
タイトルはThe Makioka Sisters。封入されていたブックレットの解説に
よれば、北米版のアスペクト比はオリジナルと同じ1.85:1。音声はモノラ
ルだがサウンドトラックから 24bit でリマスターしたとのこと。映像につい
てもオリジナルのネガから時には手作業もまじえながら入念にリマスター
したとある(英語なので解釈に間違いがあればご容赦を)。
個人的感想だが、やはりブルーレイは美しさがちがう。着物の柄や女優さ
んたちの肌などの再現がとても精細で、ため息がもれるほどだ。さすがは
Criterion。ブックレット(もちろん中身は英語で、Audie Bockさんという
日本映画の専門家による解説もなかなか読みごたえがある)の装丁も新潮
文庫のそれを思わせる品の良さである。
日本映画の至宝ともいうべき作品だのに、米国に先を越されるとはなんだ
か情けない話だ。東宝さんよ、もっとファンを信じてくれ。
少年
谷崎潤一郎特有の話の暗さ陰湿さ少年期特有の残酷さと無邪気さがよくわかる話です。
子ども4人がお互いを着物のひもで縛り合い足で踏みつけあったり
あぐらをかかせ後ろ手に縛り額にろうそくを立てられ
ろうのしたたり具合を興奮し喜ぶ。
朗読が上手なので余計話の内容が伝わってきます。
でも聞いていて気持ちが悪かったので
★3つで。
多分もう聴かないと思います・
子ども4人がお互いを着物のひもで縛り合い足で踏みつけあったり
あぐらをかかせ後ろ手に縛り額にろうそくを立てられ
ろうのしたたり具合を興奮し喜ぶ。
朗読が上手なので余計話の内容が伝わってきます。
でも聞いていて気持ちが悪かったので
★3つで。
多分もう聴かないと思います・
谷崎潤一郎「痴人の愛」より ナオミ [DVD]
この映画(以下『ナオミ』と記述)を思い出す時、かつて大映で製作された『痴人の愛 』を思い出す。こちらは有名女優Kを主役に新劇の重鎮UやMを配したそれなりの作品である。その他にも有名女優を起用した『痴人の愛 』が何本かある。しかしながら『ナオミ』はそれら前述の作品にはない一種独特のムードがあり勝るとも劣らない忘れがたい作品である。それは水原ゆう紀という女優の持つ実存感が作り上げているのだろう。現在水原ゆう紀の活動は不明だが心に残る女優である。
ドラマCD 文豪シリーズ 不良文豪とホスト
このシリーズはこれまで全部買っているので楽しみにしていたのですが、今回も期待通りでした!
デフォルメされた文豪のキャラが濃いことがこのシリーズの面白さだと思うのですが、新キャラの坂口安吾さん、ピー音連発でかなりぶっとんだ人でした(笑)
立花さんの低めのトーンもかっこよかった。
第1巻で一番ぶっとんでいた谷崎さんは相変わらずドMで、遊佐さんのMキャラは珍しいので有り難く、同じ箇所ばっかりリピートしてしまいました…
遊佐子再登場はなかったけど、今回はホストになるんですね(笑)
第2巻に出てきた中原さんが今回はツッコミ約。岡本さんは青エクの燐で好きだったので、ちょっとやんちゃな演技が聴けたのが個人的にツボ。
キャラシャッフルでどうなるのかな?とか編集さんはもう出ないのかな〜とか色々気になっていましたが、シリーズ通しての文豪ネタとかギャグラッシュは変わっていなくてよかったです。
残念だったのは坂口さんの説明があんまりなく何を書いた人なのかよくわからなかったことぐらい(笑)
初めて聴く人でも楽しめると思います!
デフォルメされた文豪のキャラが濃いことがこのシリーズの面白さだと思うのですが、新キャラの坂口安吾さん、ピー音連発でかなりぶっとんだ人でした(笑)
立花さんの低めのトーンもかっこよかった。
第1巻で一番ぶっとんでいた谷崎さんは相変わらずドMで、遊佐さんのMキャラは珍しいので有り難く、同じ箇所ばっかりリピートしてしまいました…
遊佐子再登場はなかったけど、今回はホストになるんですね(笑)
第2巻に出てきた中原さんが今回はツッコミ約。岡本さんは青エクの燐で好きだったので、ちょっとやんちゃな演技が聴けたのが個人的にツボ。
キャラシャッフルでどうなるのかな?とか編集さんはもう出ないのかな〜とか色々気になっていましたが、シリーズ通しての文豪ネタとかギャグラッシュは変わっていなくてよかったです。
残念だったのは坂口さんの説明があんまりなく何を書いた人なのかよくわからなかったことぐらい(笑)
初めて聴く人でも楽しめると思います!