天使の代理人
暗いテーマなので気分が沈み、なかなか頁が進みませんでしたが、面白い!と思える頁までたどり着いて、後は一気読み。
妊娠中絶に関わる人たち、助産婦、医師の罪悪感と正義感、若くして望まない妊娠した女の子の後悔、医療ミスで中絶させられた主婦の恨み、体外受精で妊娠したキャリア・ウーマンと、「中絶」つまり「死」という重苦しいテーマにも関わらず、逆に生きていくということを考えさせられた一冊でした。登場人物が多いので、主人公の(=作者)考える正解はこれ!という押し付けがましさがないのも好感を持てました。これが正解ってのは、その本人しか決められないものですから。
-な出来事も結果としても+だと思える時が来るのかと、読書後は気分がすっきりしました。
嫌われ松子は最後まで暗く悲しかったけど、これは最後に希望が持てました。
妊娠中絶に関わる人たち、助産婦、医師の罪悪感と正義感、若くして望まない妊娠した女の子の後悔、医療ミスで中絶させられた主婦の恨み、体外受精で妊娠したキャリア・ウーマンと、「中絶」つまり「死」という重苦しいテーマにも関わらず、逆に生きていくということを考えさせられた一冊でした。登場人物が多いので、主人公の(=作者)考える正解はこれ!という押し付けがましさがないのも好感を持てました。これが正解ってのは、その本人しか決められないものですから。
-な出来事も結果としても+だと思える時が来るのかと、読書後は気分がすっきりしました。
嫌われ松子は最後まで暗く悲しかったけど、これは最後に希望が持てました。
天使の代理人〈下〉 (幻冬舎文庫)
天使の代理人(2004年5月 幻冬舎 / 2006年4月 幻冬舎文庫【上・下】)
平成3年、生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子がその時見たものは、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔だった。罪の償いのため生きていくことを決意する冬子。その日から決して声高に語られることのない、生を守る挑戦が始まった。平成15年。冬子は助産婦をしながら“天使の代理人”という組織を運営していた。社会的地位を獲得することを目標に生きてきたものの、突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用して出産を決意した川口弥生、36歳。待望の妊娠が分かった直後、人違いで中絶させられた佐藤有希恵、26歳。何も望まぬ妊娠のため中絶を考えたものの産み育てることを選んだ佐藤雪絵、20歳。それぞれの人生と“天使の代理人”が交錯し、物語は展開していく。
人工妊娠中絶に反対する団体、それが「天使の代理人」なのであるが、桐山が当時考えていた活動から次第に遠ざかっていくに連れて、彼女の信奉者であった若い助産師、看護師は次第に活動をエスカレートさせて行く。ついに彼女たちが説得した妊婦の一人が自殺をしてしまい、天使の代理人の活動は一時休止する。半年後、その活動を再開する時に妊婦の説得役を桐山が受け持つ状況が訪れる。しかも彼女が以前働いていたクリニックが舞台であった。最後の説得を試みるのが、まさに中絶手術の前日の夜となり、あまりにショックを受けたせいか早産する。妊娠22週での出産は通常胎児が生きて生まれることはない、ほぼ確実に。最後の最後で中絶を拒否した妊婦の願いに応えるように懸命の努力の末に胎児は未熟児として生きることになる。
山田宗樹の作品には一作一作異なる作者が作った作品のように思え、いつも新鮮さが感じられる。この作品は人工妊娠中絶をテーマにした作品だが、今まで読んだどの作品ともその構成が異なる。ばらばらの登場人物が時間、場所を超えて交錯し、そして一つの意思の元に収れんする、そんな感じの構成である。
平成3年、生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子がその時見たものは、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔だった。罪の償いのため生きていくことを決意する冬子。その日から決して声高に語られることのない、生を守る挑戦が始まった。平成15年。冬子は助産婦をしながら“天使の代理人”という組織を運営していた。社会的地位を獲得することを目標に生きてきたものの、突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用して出産を決意した川口弥生、36歳。待望の妊娠が分かった直後、人違いで中絶させられた佐藤有希恵、26歳。何も望まぬ妊娠のため中絶を考えたものの産み育てることを選んだ佐藤雪絵、20歳。それぞれの人生と“天使の代理人”が交錯し、物語は展開していく。
人工妊娠中絶に反対する団体、それが「天使の代理人」なのであるが、桐山が当時考えていた活動から次第に遠ざかっていくに連れて、彼女の信奉者であった若い助産師、看護師は次第に活動をエスカレートさせて行く。ついに彼女たちが説得した妊婦の一人が自殺をしてしまい、天使の代理人の活動は一時休止する。半年後、その活動を再開する時に妊婦の説得役を桐山が受け持つ状況が訪れる。しかも彼女が以前働いていたクリニックが舞台であった。最後の説得を試みるのが、まさに中絶手術の前日の夜となり、あまりにショックを受けたせいか早産する。妊娠22週での出産は通常胎児が生きて生まれることはない、ほぼ確実に。最後の最後で中絶を拒否した妊婦の願いに応えるように懸命の努力の末に胎児は未熟児として生きることになる。
山田宗樹の作品には一作一作異なる作者が作った作品のように思え、いつも新鮮さが感じられる。この作品は人工妊娠中絶をテーマにした作品だが、今まで読んだどの作品ともその構成が異なる。ばらばらの登場人物が時間、場所を超えて交錯し、そして一つの意思の元に収れんする、そんな感じの構成である。
天使の代理人〈上〉 (幻冬舎文庫)
松子とはまた違った『女性の世界』を見せ付けられました。上・下巻とも泣いて顔をカピカピにさせながら一気に読み上げました!本当に山田先生は男性なのか?と疑ってしまうほど(笑)強く惹き付けられました。そしてまた改めてファンになりました! これは、まだ妊娠とか中絶とか考えた事のない人、今中絶という現実と戦っている人、もう子供は無理かなと諦めている人、命とは何かを問う人、そして男性にも、是非読んで頂きたい作品です!本当に勉強になります。改めて命の大切さを学びました。 山田先生ありがとう!!