小山実稚恵というピアニストを知ったのは、けっこう面白くてよく見ていたNHKのクラシック紹介番組『名曲
探偵アマデウス』だった。確かリスト「ラ・カンパネラ」の回に登場していて、その後も何度か見かけた気がするけれど、それはそれでいつの間にか忘れてしまっていた。
その後、評論家・川本三郎氏のエッセイを読んでいたら、「憧れのピアニスト」として名前が挙げられていたのが小山実稚恵だった。「あ、ラ・カンパネラの人だ!」と思い出し、一度ちゃんと聴いてみようかとCDを購入した。ウィキペディアを見ると「ピアニストにしては珍しく留学経験がない」ということが書いてあって、それにも惹かれた。本当に実力がある人は、留学という箔付けがなくてもちゃんと頭角をあらわすのだなと感じ入った。
本作はベスト・アルバムということで、得意なピアノ・レパートリーがたっぷり70分詰まっている。しかもBest Classics100の特別価格ということで1,680円、と何ともお得感のある1枚である。もちろん「ラ・カンパネラ」も入っているし、
ショパン、バッハ、シューマン、
モーツァルト、ラフマニノフなど、贅沢なリサイタルさながらに小山実稚恵の世界が存分に楽しめる。ここを入り口に、作曲家別の作品集やオケとの協演などのCDへと食指を伸ばすのもいいだろう。僕もこれからそうしようかと考えている。