ヴェデルニコフの芸術(12)
よくぞ探してきてくれた。このような録音が眠っているとは!
筆者に演奏芸術のすばらしさ、価値感をさずけてくれたCD。
その壮絶な生き様に感動すると共にこのような演奏が残されて
いたことが奇跡。併せて聞いて欲しいのは
この人が死ぬ2年前に弾いたピンネベルクでの演奏会のCD。
涙無しには聞けない。
バルビローリも来日して欲しかったがこのピアニストも本当に
来て欲しかった。
筆者に演奏芸術のすばらしさ、価値感をさずけてくれたCD。
その壮絶な生き様に感動すると共にこのような演奏が残されて
いたことが奇跡。併せて聞いて欲しいのは
この人が死ぬ2年前に弾いたピンネベルクでの演奏会のCD。
涙無しには聞けない。
バルビローリも来日して欲しかったがこのピアニストも本当に
来て欲しかった。
ロシア・ピアニズム名盤選26 ヴェデルニコフ/リスト、ラヴェル&フランク
素晴らしいの一言に尽きる、と思います。他の方はクープランの墓 フーガ、フォラーヌに注目していらっしゃいますが、私はクープランの墓 トッカータに注目したいと思います。私はこの曲を何百回も聞いていて、CDショップの試聴機で最初の30秒を聞けば大体その演奏が聞き応えがあるかどうか判りますが、まさに最初の15秒で鳥肌が立ちました。それまで私はトッカータの演奏は、アレクサンドル・タローが一番だと信じていましたが、聞いてみてそれが完全に崩れ去りました。ベデルニコフの演奏を聞いたあとタローの演奏を聞いてみるとペダルをあまり使っていない、乱暴な演奏に聞こえてしまいます。サンソン・フランソワの演奏など論外と思えてしまうのです。それだけ彼の演奏は流れるように、且つ迫ってくる、そして華のある演奏なのです。
ロシア・ピアニズム名盤選-2 ベートーヴェン:ハンマークラヴィーア/ピアノ・ソナタ第1番
ヴェデルニコフの演奏では常に言えることなのかも知れないが、彼は何も特別なことはしないし、表面的な演奏効果を狙ったこけおどしのようなことも決してしない。ただ、純粋に真摯に楽譜に向き合い、感じたことを音として積み重ねているだけだ。
ベートーヴェンの1番という中後期の作品と比べて演奏機会が少ない曲に対しても、そうした態度は変わらない。実に丁寧に音を積み重ねる。リズムを煽るようなことはしないが、推進力は十分にある。最終楽章では炎のような盛り上がりを見せて終わる。
とはいえ、やはりこのディスクのメーン・ディッシュは何といってもハンマークラヴィーア・ソナタだろう。
確かな技巧をひけらかすことなく、中庸なテンポで始まる第1楽章。第2楽章では、速いパッセージも極めて正確に演奏されている。そして、全曲の白眉とも言うべき第3楽章。ピアノ以下の弱音を多様して、慈しむように、祈るように美しい音色でじっくりと弾き込まれるこの楽章は、聴く者を本当に清らかな気持ちにしてくれる。
第4楽章での対位法の処理はこのピアニストの得意とするところで、強弱、音色の変化を駆使して、壮大なクライマックスを迎える。
ロシア・ピアニズム名盤選挙が出る直前には、インターネット・オークションで1万円以上の高値を付けるなど、再発が待ち望まれていただけに、多くの人に聴いていただきたい。
ベートーヴェンの1番という中後期の作品と比べて演奏機会が少ない曲に対しても、そうした態度は変わらない。実に丁寧に音を積み重ねる。リズムを煽るようなことはしないが、推進力は十分にある。最終楽章では炎のような盛り上がりを見せて終わる。
とはいえ、やはりこのディスクのメーン・ディッシュは何といってもハンマークラヴィーア・ソナタだろう。
確かな技巧をひけらかすことなく、中庸なテンポで始まる第1楽章。第2楽章では、速いパッセージも極めて正確に演奏されている。そして、全曲の白眉とも言うべき第3楽章。ピアノ以下の弱音を多様して、慈しむように、祈るように美しい音色でじっくりと弾き込まれるこの楽章は、聴く者を本当に清らかな気持ちにしてくれる。
第4楽章での対位法の処理はこのピアニストの得意とするところで、強弱、音色の変化を駆使して、壮大なクライマックスを迎える。
ロシア・ピアニズム名盤選挙が出る直前には、インターネット・オークションで1万円以上の高値を付けるなど、再発が待ち望まれていただけに、多くの人に聴いていただきたい。