グレン・グールド・プレイズ・バッハ~ブルーノ・モンサンジョン監督三部作 [DVD]
昔、このグレン・グールド・プレイズ・バッハ3部作はLDで所有していて、その素晴らしい内容に惚れこんでました。LD時代が終焉を迎えLDハード本体を手放した後も、3部作をビデオテープに自分でダビングして大切に持っていました。しかし、いかんせんビデオテープですから内容は最高でも音も画質も悪いのが玉にキズ。そのためDVDで再発されるのをいまかいまかと待っていましたが、なかなか出ず。その後もインポートものでは、なかなか魅力的なグールド商品も、ちらほら出ていた模様ですが、英語に堪能な人や、コアなグールドマニアの人だったら、インポートの英語版でも十分理解できるのでしょうが、私の場合は、やはり日本語字幕があってくれたほうがはるかに楽しめますので、日本語版の発売までガマンすることにしました。わりと最近、第3部の「ゴールドベルク変奏曲」だけは、DVDで日本語版が出たので早速購入しましたが、やはり、その前の第1部や第2部の内容を、DVDで猛烈に観たいという欲求を抑えられず。あのモンサンジョンとのエアー合奏や、グールドのスキャットまねが忘れられない。今回その念願がやっとかなって大変満足です。念入りに内容を打ち合わせ吟味し、ピアノ演奏時のポーズまで考え抜いて録画したという、この入魂のバッハシリーズは、事前に計算しつくしているはずなのに、まるで、その場でグールドがそうしたくてそうしたかのような、自然さと即興性に満ちています。なぜそうできるのかは、グールド自身の、音楽への、そしてバッハへの、精神的根幹がとてつもなく揺るぎなく深遠であること、そしてそこから発祥する視聴者へ伝えたいことが至極明確であるが故だと思います。グールドのバッハに興味のある人や今までゴールドベルク変奏曲の映像しか観ていない人 にお勧めです!
グレン・グールドは語る (ちくま学芸文庫)
グールドにローリング・ストーンの記者が電話インタビューした内容に、演奏中に椅子の高さを調整するという奇妙な行為がセンセーショナルに報じられたことについての本人の発言を加え、発表されたレコード、映像等の詳細な情報をまとめた本である。グールドのファンなら必読、そうでなくとも、この本を読む事は他には換え難い経験と楽しみをもたらしてくれる。
ローリング・ストーンという雑誌はロックやポップ音楽のみならず当時の政治や若者文化全体を論じていた雑誌だったようで、このインタビューも音楽理論の話からビートルズに関する論考、4チャンネルオーディオ(今で言うところのサラウンド環境)への挑戦等、非常に幅広い題材を扱っている。それらがインタビュアーの的確な誘導を伴い広く深く展開されていく様は滅多に見ないほど面白い。
文書の内容のみならずその時代の写真を随時載せてあり、視覚的にも楽しませてくれるような配慮がなされている。映像分野にも明るかったグールドの本としてふさわしい配慮だと思う。その最高の例が、赤が嫌いなグールドが赤いセーターをまとっている表紙の写真である事等も訳者が丁寧に解説している。思うに、この本が面白いのは原著の内容もさることながら、訳者が随所に入れている解説や脚注、そして写真等に負うところも多いのではなかろうか。会話の随所には、その会話が指している音楽が何年発表のどのレコードなのかも書いてあり、その気になればちゃんと音楽を聴きながら読めるようになっている。訳者がこのような大変細かな気配りを大量に入れているおかげで、この本はグールドを知る為の最高の材料の一つになり得たのだろうと感じた。
ローリング・ストーンという雑誌はロックやポップ音楽のみならず当時の政治や若者文化全体を論じていた雑誌だったようで、このインタビューも音楽理論の話からビートルズに関する論考、4チャンネルオーディオ(今で言うところのサラウンド環境)への挑戦等、非常に幅広い題材を扱っている。それらがインタビュアーの的確な誘導を伴い広く深く展開されていく様は滅多に見ないほど面白い。
文書の内容のみならずその時代の写真を随時載せてあり、視覚的にも楽しませてくれるような配慮がなされている。映像分野にも明るかったグールドの本としてふさわしい配慮だと思う。その最高の例が、赤が嫌いなグールドが赤いセーターをまとっている表紙の写真である事等も訳者が丁寧に解説している。思うに、この本が面白いのは原著の内容もさることながら、訳者が随所に入れている解説や脚注、そして写真等に負うところも多いのではなかろうか。会話の随所には、その会話が指している音楽が何年発表のどのレコードなのかも書いてあり、その気になればちゃんと音楽を聴きながら読めるようになっている。訳者がこのような大変細かな気配りを大量に入れているおかげで、この本はグールドを知る為の最高の材料の一つになり得たのだろうと感じた。
グレン・グールド・バッハ・コレクション [DVD]
既発の『ザ・グレン・グールド・コレクション』からバッハの演奏を集めた1枚。この値段でこれだけの映像が堪能できるというのはすごいことだ。個人的には、1964年の『ゴールドベルク変奏曲』の映像がすばらしい。もう何回も見ているが、他のCDや映像では見られない解釈のもとで演奏されており、興味が尽きない。そして、貴重でもある。
まずその構成がグールドらしい。当然、番組のなかで全曲を演奏するということは時間的に不可能だったろうから、アリアから始まり第3、6、9、12、15、27変奏とカノンのみを順に演奏していくというものになっている。1つ1つの演奏は、装飾(トリル)を最低限に抑えて演奏しているようだ。特に最初のアリアが他では聴けないような快活さに満ちている。そのことによってよりバロック的な雰囲気を醸し出すことにも成功していると思う。
わずか8分ほどのなかに組み込まれたこれらの変奏は部分部分の抽出に過ぎないのだが、特筆すべきは、グールドが演奏すると互いに有機的に絡み合っているかのように思えてくることだ。『ゴールドベルク』という大きな宇宙から別の小宇宙を作り出しているといえばよいだろうか。これによってグールドは各変奏同士の様々な組合せが可能であることを教えてくれるし、そこにこの変奏曲の広大な宇宙を感じることができるはずである。
まずその構成がグールドらしい。当然、番組のなかで全曲を演奏するということは時間的に不可能だったろうから、アリアから始まり第3、6、9、12、15、27変奏とカノンのみを順に演奏していくというものになっている。1つ1つの演奏は、装飾(トリル)を最低限に抑えて演奏しているようだ。特に最初のアリアが他では聴けないような快活さに満ちている。そのことによってよりバロック的な雰囲気を醸し出すことにも成功していると思う。
わずか8分ほどのなかに組み込まれたこれらの変奏は部分部分の抽出に過ぎないのだが、特筆すべきは、グールドが演奏すると互いに有機的に絡み合っているかのように思えてくることだ。『ゴールドベルク』という大きな宇宙から別の小宇宙を作り出しているといえばよいだろうか。これによってグールドは各変奏同士の様々な組合せが可能であることを教えてくれるし、そこにこの変奏曲の広大な宇宙を感じることができるはずである。
Glenn Gould Reader
特にセルフ・インタビューが良かった!同一人物によるインタビュー形式の会話で彼の深い考えが分かった、とてもチャーミングな人だ!
著作集1は音楽を学ぶ、私たち学生にも難解な用語が多く、読むのに時間がかかったけど、著作集2は、専門用語など知らない人、楽譜の読めない人でも、グールドの真髄に迫る事が出来る貴重な一冊です。
レコーディングに対する論文、録音テープは「隣の芝生」リスニングの一実験で、音楽専門家ほど継ぎはぎだらけの編集箇所がわからなかったようだ。
内容も「拍手喝采おことわり!」からレコーディング、他にも北への思い、愛して止まないトロントの事など、グールドファン以外の人にも是非おすすめしたい一冊です。
レコーディング以外に多くの著作を残した彼自身による文章の数々、必見の一冊です。
著作集1は音楽を学ぶ、私たち学生にも難解な用語が多く、読むのに時間がかかったけど、著作集2は、専門用語など知らない人、楽譜の読めない人でも、グールドの真髄に迫る事が出来る貴重な一冊です。
レコーディングに対する論文、録音テープは「隣の芝生」リスニングの一実験で、音楽専門家ほど継ぎはぎだらけの編集箇所がわからなかったようだ。
内容も「拍手喝采おことわり!」からレコーディング、他にも北への思い、愛して止まないトロントの事など、グールドファン以外の人にも是非おすすめしたい一冊です。
レコーディング以外に多くの著作を残した彼自身による文章の数々、必見の一冊です。