原子力王国の黄昏 (1984年)
スリーマイル事故後の原子力産業についての社会評論。
専門書を読む前に、社会的な情報として何が流通しているかを知るための本。
技術的内容や事故分析などについては詳しくは、書いていない。
専門書を読む前に、社会的な情報として何が流通しているかを知るための本。
技術的内容や事故分析などについては詳しくは、書いていない。
平安朝の文学と色彩 (1982年) (中公新書)
一 平安時代とは
二 色彩の黄金時代
(一)上代の色彩
(二)平安の色彩
三 王朝の色彩の特徴
(一)自然の色どりと色目
(二)色あいの世界
四 王朝びとの色彩への感情
(一)上代
(二)平安時代
五 『枕草子』の唯美的色彩観
(一)清少納言の美意識
(二)登場人物の色彩描写
六 『源氏物語』の象徴的色彩観
(一)服色から"人から"を推測する
(二)服色は"人物"を象徴する
豊富で体系的な引用に基づいて、平安朝文学と色彩との関係を概説した書です。
位袍・禁色・ゆるし色など、辞書を引けばわかるたぐいの
基本的な色彩に関する用語の解説があるのはもちろんですが、
平安びとがどういう基準で色を決めたかを教えてくれます。
今後、古典を読むときに、色に関する情報から意味を読み取れることでしょう。
また、『枕草子』に比して『源氏物語』は色彩のバリエーションが少ないことを知らされ、
意外に思いました。
しかし紫式部が清少納言に比べて色彩感覚に乏しいわけではないのは、
『紫式部日記』を見ればわかります。
紫式部は、色彩に関しても、人物像に添った選択をしているそうで、
紫式部の偉大さを改めて認識します。
巻末の「色彩用語解説」は便利です。
色彩の本でありながら、カラーページが1ページしかないのが残念ですが、
これはないものねだりというものでしょう。
ただし、いささか古いだけあって、
現代の衣裳史から見ると、ちょっとくびをかしげる部分、
こんにちの水準では、本文解釈も怪しい部分があります。
明らかに誤っている記述をひとつ。
52ページ以降、『栄花物語』を引用して、十二単が重かったことを示すのですが、
---------------------------------------------
女房たちはこうして長時間ならんで座っているので、
儀式の終わったあと、「ゐすくみて、立つここといと
侘し」とあり、すくんで動けなくなって立つのにも
たいそうつらい思いをしたらしい。車をもってこさせて、
それに乗って帰ろうとして大騒ぎをしたり、
そうでないのは「局局に皆行きて、物も覚えで
より臥しぬ。」とあり、それぞれ自分の室に退出して
前後不覚、何もわからないようになって、物に
よりそって横になってしまった、という。
---------------------------------------------
こんな羽目に陥ったのは、実は着物が重かったから
ではなく、道長の出した贅沢禁止の命令を無視して
豪勢な服装をしていたのを見た頼道が、
道長に報告する、と脅したもので、女房たちが
パニックに陥っているのです。
一事が万事ですから、この書物からの孫引きは危険すぎます。
二 色彩の黄金時代
(一)上代の色彩
(二)平安の色彩
三 王朝の色彩の特徴
(一)自然の色どりと色目
(二)色あいの世界
四 王朝びとの色彩への感情
(一)上代
(二)平安時代
五 『枕草子』の唯美的色彩観
(一)清少納言の美意識
(二)登場人物の色彩描写
六 『源氏物語』の象徴的色彩観
(一)服色から"人から"を推測する
(二)服色は"人物"を象徴する
豊富で体系的な引用に基づいて、平安朝文学と色彩との関係を概説した書です。
位袍・禁色・ゆるし色など、辞書を引けばわかるたぐいの
基本的な色彩に関する用語の解説があるのはもちろんですが、
平安びとがどういう基準で色を決めたかを教えてくれます。
今後、古典を読むときに、色に関する情報から意味を読み取れることでしょう。
また、『枕草子』に比して『源氏物語』は色彩のバリエーションが少ないことを知らされ、
意外に思いました。
しかし紫式部が清少納言に比べて色彩感覚に乏しいわけではないのは、
『紫式部日記』を見ればわかります。
紫式部は、色彩に関しても、人物像に添った選択をしているそうで、
紫式部の偉大さを改めて認識します。
巻末の「色彩用語解説」は便利です。
色彩の本でありながら、カラーページが1ページしかないのが残念ですが、
これはないものねだりというものでしょう。
ただし、いささか古いだけあって、
現代の衣裳史から見ると、ちょっとくびをかしげる部分、
こんにちの水準では、本文解釈も怪しい部分があります。
明らかに誤っている記述をひとつ。
52ページ以降、『栄花物語』を引用して、十二単が重かったことを示すのですが、
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女房たちはこうして長時間ならんで座っているので、
儀式の終わったあと、「ゐすくみて、立つここといと
侘し」とあり、すくんで動けなくなって立つのにも
たいそうつらい思いをしたらしい。車をもってこさせて、
それに乗って帰ろうとして大騒ぎをしたり、
そうでないのは「局局に皆行きて、物も覚えで
より臥しぬ。」とあり、それぞれ自分の室に退出して
前後不覚、何もわからないようになって、物に
よりそって横になってしまった、という。
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こんな羽目に陥ったのは、実は着物が重かったから
ではなく、道長の出した贅沢禁止の命令を無視して
豪勢な服装をしていたのを見た頼道が、
道長に報告する、と脅したもので、女房たちが
パニックに陥っているのです。
一事が万事ですから、この書物からの孫引きは危険すぎます。