ジュリエット
賽ノ河原で延々と小石を積んでいるような、囚われた心理パターンを延々と続
ける登場人物達。
こういう書き手って多いね。郵便屋(芹沢準)もそうだったし、視野の狭さに
辟易してしまうなぁ。もちろん、それが面白い場合もある。しかし、こういっ
た心理パターンがデフォってどうなんだろう。
その点、乃南アサは、かなり巧く使い分ける作家ですね。
・ 良い点
吐露、心理描写、情景描写の織り交ぜ方が非常にうまい。
夢と現のはざまを行ったり来たり、混乱するかしないか、もしくはその混乱自
体が、穏やかに楽しめる。
選評の島文学って良いネーミングだと思う。まさに、リゾートの思い出に浸る
ような感覚で、「混乱」をうまくホラーに噛み合わせている。
それと盛り上げ方もうまい。小出しにしつつ、演出を図っているのは好印象。
この人、純文学の方がいいかもね。
・ 悪い点
ごちゃ付き過ぎ。
選評通り、ネタに一貫性がなく、関わりも希薄。せっかく小出しに演出してい
るのに、関連の薄さが全てをダメにしている。軽い物を積み上げて行くのは、
良いが、関連が無いために全然心に残らない。ホラーとして積み重ならない。
ネタ、一つ一つは、良質ホラーの前振り程度の能力はあるのに、積み重ならな
いから、より強い恐怖につながらないし、印象にも残らない。
まったく――。もったいない。
それと、囚われた心理パターンを延々と続ける作家さんに多いのが「くどさ」
かな。そういう執着はある意味怖いが……。ただこの作家さんの場合は、軽快
な会話や、一人遊びめいた呟きがあるから、割合楽しめる。
あとは、結局何が書きたかったんだ? ってところかな。
ネタと同じようにテーマも一貫していない。
小説読むと、作家の性格ってモロ分かりだよねぇ。
---
ふと思う事として、なぜ大人は子供の心理が分からないんだ?
通ってきた道だろう? なぜ忘れてしまうんだ?
しかも5歳の子供に「死」が分からないって??? 御冗談を・・・。
ああ、人による(子供による)かもしれないな。
ただ、少なくとも、洋一は感受性が高く、察しの良さそうな子供だぞ。
ける登場人物達。
こういう書き手って多いね。郵便屋(芹沢準)もそうだったし、視野の狭さに
辟易してしまうなぁ。もちろん、それが面白い場合もある。しかし、こういっ
た心理パターンがデフォってどうなんだろう。
その点、乃南アサは、かなり巧く使い分ける作家ですね。
・ 良い点
吐露、心理描写、情景描写の織り交ぜ方が非常にうまい。
夢と現のはざまを行ったり来たり、混乱するかしないか、もしくはその混乱自
体が、穏やかに楽しめる。
選評の島文学って良いネーミングだと思う。まさに、リゾートの思い出に浸る
ような感覚で、「混乱」をうまくホラーに噛み合わせている。
それと盛り上げ方もうまい。小出しにしつつ、演出を図っているのは好印象。
この人、純文学の方がいいかもね。
・ 悪い点
ごちゃ付き過ぎ。
選評通り、ネタに一貫性がなく、関わりも希薄。せっかく小出しに演出してい
るのに、関連の薄さが全てをダメにしている。軽い物を積み上げて行くのは、
良いが、関連が無いために全然心に残らない。ホラーとして積み重ならない。
ネタ、一つ一つは、良質ホラーの前振り程度の能力はあるのに、積み重ならな
いから、より強い恐怖につながらないし、印象にも残らない。
まったく――。もったいない。
それと、囚われた心理パターンを延々と続ける作家さんに多いのが「くどさ」
かな。そういう執着はある意味怖いが……。ただこの作家さんの場合は、軽快
な会話や、一人遊びめいた呟きがあるから、割合楽しめる。
あとは、結局何が書きたかったんだ? ってところかな。
ネタと同じようにテーマも一貫していない。
小説読むと、作家の性格ってモロ分かりだよねぇ。
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ふと思う事として、なぜ大人は子供の心理が分からないんだ?
通ってきた道だろう? なぜ忘れてしまうんだ?
しかも5歳の子供に「死」が分からないって??? 御冗談を・・・。
ああ、人による(子供による)かもしれないな。
ただ、少なくとも、洋一は感受性が高く、察しの良さそうな子供だぞ。
ジュリエット (角川ホラー文庫)
破産宣告をした健吾は息子と娘を連れて南の島へ移住する。そこで、水字貝が亡くなった自分の妻を描いているところを目撃する。そこから、健吾ら家族に奇妙な出来事が訪れる。
島国のおおらかかつ、閉鎖的な世界観が素晴らしい。それとホラーが絶妙に相まみれている。
リーダビリティも高く、最後まで読ませる力がある。
しかし、肝心のホラー自体が凡庸で目新しさが無い。
しかも、ホラーの禁じ手を使ってしまっている。
ホラー大賞作品としては、物足りない作品。
島国のおおらかかつ、閉鎖的な世界観が素晴らしい。それとホラーが絶妙に相まみれている。
リーダビリティも高く、最後まで読ませる力がある。
しかし、肝心のホラー自体が凡庸で目新しさが無い。
しかも、ホラーの禁じ手を使ってしまっている。
ホラー大賞作品としては、物足りない作品。