前評判を全く知らず、何となく見た映画でしたが、
監督のストイックな姿勢が結果、成功を得ている映画です。

シンプルな世界感は、見る人間の想像力を刺激し、シンパシーを掻き立てる。

美しい秋、黄金色の銀杏は特に強烈な印象を残します。
セリフ、演出、要らないものをギリギリのところまで削ぎ落とすと、翻って浮き上がってくるのは映像と音楽ですが、
この映画はこの二つの柱がきちんとというか、想像以上に素晴らしい力を持ってこちら側に迫ってきます。

劇中、芸に身を捧げる芸術家たるバレエダンサーと、人生を信仰に捧げる、ストイックな主人公の心の交流を如実に現すような
コラボレーションシーンがありますが、この奇跡的な美しさを映像を通じて味わう事が出来た、という一点をもって視聴した甲斐をしみじみと感じました。

小品ですが、侮るべからず。
何度も見たくなる映画になりました。