人は生まれただけでは人になれない、
愛情によって人になる。
昨今の児童虐待などともリンクして考えさせられる内容だった。

発表時の印象は「えっ、これガッチャマン？」でした。
あまりにもガッチャマンとはかけ離れたビジュアル。
リバイバルの流れの中で、誰かがいい加減に立ち上げた企画なんじゃないか？
そんな憶測から放送まで全く期待していませんでした。

ところが、蓋を開けてみると、これがすごく面白い。
主人公は自由に生きているだけのように見えて、いつも一番物事の本質の近くにいる。
敵はただ強いだけでなく、悪意の塊のような質の悪さが突出したキャラクターを形成し、ストーリーの行方を不透明にしている。
仲間のキャラクターはそれぞれ魅力的で、しかもその能力が初めは不明なため、「こいつはどういう能力なんだろう？」と想像をかきたてられる。
そして、作品のテーマがきわめて明快であり、「ガッチャマンクラウズ」というタイトルがシンプルにそのテーマに合致している。
こういった要素が破綻なく機能して、毎週「次は一体何が起きるんだろう？」とワクワクさせてくれます。

キャラクターの中では個人的にうつつちゃんとO・Dがお気に入り。
うつつちゃんなんか序盤は「うつうつします…」しか言ってないのにあのかわいさはヤバい。
O・Dはこんな優しくてかっこ良くて気の利くオカマ見たこと無い！
秘めた力が最強っぽいのもたまりません。

とにかく、先入観で観ないのがバカバカしくなるいいアニメです。
はじめちゃんが最後に一体何を成し遂げるのか…ワクワクしながら最後まで見守ろうと思います。

（最終回後追記）
残念ながら、それまでのワクワクに応えてくれるほどのものではなかった、という印象です。
まず、ガッチャマンが戦わなければならない相手より実力差がありすぎるので、ラスト近くの戦いが戦いというより作業っぽい。
次に、最後の累くんの決断はなるほど、とも思うのですが、その負の側面がほとんど描写されなかったこと。
それから、首相の最後の発言の意図がよく分からないこと（あれって政治の否定ですよね？）。
さらに、カッツェが最後どういう状態だったのかよく分からなかったこと。
そして一番の不満は、O・Dがどうなったのか描写しなかったこと！
総集編を入れるならなんで…とどうしても思ってしまいます（総集編の内容は悪くなかったのですが）。

BOXでの新編か、特典での補足を期待しています。

（DC版視聴後追記）
本当に素晴らしいラストでした。
Embrace（人を（愛情を持って）抱きしめる）というタイトルが完璧。
追加部分でTV版最終回のCollageの意味もよく分かりました。
はじめちゃんは「ヒーローって何すかね〜♪」と繰り返し歌っていて、放送時は何その歌？と思いましたが、とても意味のあるシーンだったんだなあ、と終わった後に気付かされました。
はじめ役の方の演技も素晴らしく、彼女の選択の苦しさが伝わってきて自然と涙がこぼれました。

はじめちゃんのおっきな胸は本当に大きかったんだね！（台無し）

これだけ素晴らしい内容なのに多くの方にあまり知られないだろうことは残念。
BOX発売から間を空けて、２期の放送直前にでもTV放映してもいいのではないかと思います。
本当に素晴らしい作品を作ってくださったスタッフの皆さんに感謝です。