リスト:シューベルト歌曲編曲1
1811年生まれのリストが14才年上のシューベルトとどのような接点があったのか明確にはなっていないが、さまざまな作曲家に作品を依頼した楽譜出版業者ディアベリがまだ11才だったリストにも仕事を依頼しており、当時25才のシューベルトと知り合うチャンスはあったかもしれない。シューベルトの死後、彼の作品を多いに広めたのにリストは一役買っており、これらのトランスクリプションものもその一環と考えられよう。
1977年生まれのギンジンは1994年のチャイコフスキー・コンクールで、史上最年少で入賞を果たした異才。さて、そのギンジンのアプローチであるが、実に見事というか、瑞々しく、最初からこれらの曲がピアノ曲としてそこにあったかのような、必要なものをすべて備えた響きになっている。もちろん、聴く側の多くはこれらのシューベルトの旋律が有名な歌曲のものであるし、ついつい聴いていると思わず歌声を頭の中で思い出してしまうのであるけれど、その過程を経て知らず知らずのうちに純然たるピアノという器楽の世界に誘われてしまうのである。リストの華々しい演奏効果を持った見事な編曲も、もちろん素晴らしい。
ところで、この「ます」をギンジンはさらに様々に手を加えて弾いているとのこと。リストが編曲した本来の姿を知らないので、あまりコメントできないが、このピアニストは様々なエンターテーメント精神を持っていると感じられた。今後の活躍にも大いに期待したい。それにしてもよくツボをおさえて弾きこなしている。純粋なリストの作品としてのアプローチと考えていいだろう。とにかく聴いていてこの上なく楽しいアルバムだ。
1977年生まれのギンジンは1994年のチャイコフスキー・コンクールで、史上最年少で入賞を果たした異才。さて、そのギンジンのアプローチであるが、実に見事というか、瑞々しく、最初からこれらの曲がピアノ曲としてそこにあったかのような、必要なものをすべて備えた響きになっている。もちろん、聴く側の多くはこれらのシューベルトの旋律が有名な歌曲のものであるし、ついつい聴いていると思わず歌声を頭の中で思い出してしまうのであるけれど、その過程を経て知らず知らずのうちに純然たるピアノという器楽の世界に誘われてしまうのである。リストの華々しい演奏効果を持った見事な編曲も、もちろん素晴らしい。
ところで、この「ます」をギンジンはさらに様々に手を加えて弾いているとのこと。リストが編曲した本来の姿を知らないので、あまりコメントできないが、このピアニストは様々なエンターテーメント精神を持っていると感じられた。今後の活躍にも大いに期待したい。それにしてもよくツボをおさえて弾きこなしている。純粋なリストの作品としてのアプローチと考えていいだろう。とにかく聴いていてこの上なく楽しいアルバムだ。