二期会メンバーのプリモ・ウォーモたちによる美しき日本語の歌 心の歌
二期会のプリモ・ウォーモたちによる「日本語の歌」です。山田耕筰の歌曲があれば、武光徹もあり、そしてシューベルトの「美しき水車屋の娘」の松本隆の訳詞もあり、さらには谷村新司の「昴」や「千の風になって」(これはテノールの勝田友彰が歌っていてまた違う軽やかさ)もあり、おそらくそれぞれの歌手が自分らしいもの、得手と思われるものを選んでいるのでしょう。立川清登や中山悌一のような故人の大御所から、若い世代の羽山晃雄、宮本益光まで、じつにさまざまな声と語りかたが味わえます。
クラシックの歌手といえば、何を歌ってもベルカントで朗々と、だと思われるかもしれませんが、このアンソロでは全くそんなことはなく、軽みをきかせたり、こぶしをまわしたり、といろいろ。「昴」はテノールの高野二郎によってポップスの発声で歌われていますし、何といってもびっくりしたのは、黒田博の歌った八代亜紀の「舟唄」です。必ずしも演歌調ではないのですが、ハイバリトンの深くてのびる声が歌い上げる、哀調を帯びた独特の「歌謡」になっています(昨年、ふたたび清艶なドン・ジョヴァンニを聞かせてくれた黒田博ですが、ソロアルバムがないのは残念)。この「舟唄」と、中山悌一の「魔王」「荒城の月」が初CD化音源ということで、さすがにこの三曲は出色です。なお中山悌一全集で出ていた「荒城の月」はピアノ伴奏でしたが、ここではオケ伴、荘厳な雰囲気の中に、比類ない予言者のような日本語が響きます。
もちろん歌詞カードもありますが、致命的と思われるのは、録音日時のデータがないこと。貴重な資料でもある一枚なのに、その点が惜しまれます。
クラシックの歌手といえば、何を歌ってもベルカントで朗々と、だと思われるかもしれませんが、このアンソロでは全くそんなことはなく、軽みをきかせたり、こぶしをまわしたり、といろいろ。「昴」はテノールの高野二郎によってポップスの発声で歌われていますし、何といってもびっくりしたのは、黒田博の歌った八代亜紀の「舟唄」です。必ずしも演歌調ではないのですが、ハイバリトンの深くてのびる声が歌い上げる、哀調を帯びた独特の「歌謡」になっています(昨年、ふたたび清艶なドン・ジョヴァンニを聞かせてくれた黒田博ですが、ソロアルバムがないのは残念)。この「舟唄」と、中山悌一の「魔王」「荒城の月」が初CD化音源ということで、さすがにこの三曲は出色です。なお中山悌一全集で出ていた「荒城の月」はピアノ伴奏でしたが、ここではオケ伴、荘厳な雰囲気の中に、比類ない予言者のような日本語が響きます。
もちろん歌詞カードもありますが、致命的と思われるのは、録音日時のデータがないこと。貴重な資料でもある一枚なのに、その点が惜しまれます。