去華就実~花散りて次に葉茂り実をむすぶ~デラックス盤
過去の海援隊のアルバムの多くは、キチッと揃ったいわゆる一般大衆向けの音作りが多かった気がします。
しかし今作はメンバーの演奏による音が多くを占め、とても説得力のある作品だと思います。
生々しく録音されたアコースティックサウンドが心地よく、彼ら3人だけで行われるコンサートに近い雰囲気が随所に感じられます。
私のお気に入りはM9.フォークソング。3人がそれぞれボーカルをとり、「今」の海援隊が強く感じられる楽曲。ぜひ多くの方にコンサートで聴いてほしい唄です。話題のM7.そうだ病院へ行こうも常に口ずさんでしまう唄ですね。
Escape Artist
と言う60年代の名曲のリメイク、と言ってももう30年近くも前の話なのだが、本作はオリジナルの持っていた軽いのりをまったくソウルフルでヘヴィーなものに改作している。シングル盤になったこの曲の出来が本当に素晴らしい。
他の挿入歌については殆んど言及する事はない、ただこの人はその時に出た新人アーティストではなかったと記憶している。苦労人のヴェテランだったように覚えているのだが、歌はそんな実力の片鱗を垣間見せる。
オリジナル(?&ミステリアンズだったと思うが)の曲と聞き比べれば判るけど、よく似たアレンジでも重さがぜんぜん違う。この歌をポップスからソウルに変えたマジックは今なにをしているんだろう?
武田家滅亡 (角川文庫)
武田家家臣団の四分五裂の様子が丁寧に描かれていて,武田家の滅亡という事実に対して強い納得感が得られました。また,序盤に構築される伏線がきちんと終盤に拾い上げられます。構成が緻密で完成度が高いです。
ただ,当該人物の行く末が先に予想できてしまったり(構成が緻密ゆえ,あるいは史実をある程度知ってしまっているから,そう感じたのかもしれません),他人に騙されやす過ぎるキャラクターが多いのでは(もしくは騙される理由が描き切れていないのかも)という感想も持ったりしました。
しかし,それらは小さな瑕疵でこの小説のおもしろさは損なっていないと思います。また,事態の推移や地名が細かく記されているために,当該時代の動きをリアルに感じることができ楽しめました。