信長の野望系の
毛利元就にスポットを当てたもの。毛利が好きならばそれなりに面白い。毛利、小早川、吉川の3本の矢は色んなところで使われているので(例えばマガジ○の某車漫画とか)知ってからやった方が良いです。もちろんコレで覚えるのもイイですが。
厳島神社での奉納狂言に出かける前に購入、一気に読みました。中国地方の攻防、三本の矢の話、陶軍を破った宮島での奇襲戦と要所を押さえて読み応え十分、満足な一冊でした。謀に長けた戦い方、妻を愛し息子達を慈しむその人となりも随所にちりばめられていて、血なまぐさい戦国の描写の多い歴史小説の中にあって、胸が温かくなるような読後感があります。帰途によった広島城も元就の孫の築城と知って感慨深いものがありました。彼の地に出かける折にはまた読み返したい本です。
光栄のシミュレーションゲームは同様のものがいくつかあるが、それらすべてに共通して言えることで、最初は面白くても中盤以降はだれてしまう。この作品も家臣が増えて、部隊が増えると、戦闘ですべての部隊に命令を下すのが面倒になる。同じ光栄の「ゼルドナーシルト」は最大部隊数が決まっているので、中盤以降も面倒臭くならない。「ゼルドナーシルト」と同様のシステムで戦国物は作れないのだろうか。
戦国時代の動乱は日本全国に飛び火しており、各地で大名同士の争いが繰り広げられていた。
源頼朝に仕えた大江広元を祖とすると言われる毛利氏も大内氏・尼子氏の二強が対立する中国地方の一豪族に過ぎなかった。
元就は幼くして実母を失い、父とも死に別れる。孤独な元就を父親の側室であった杉の方が養育した。
長じて元就は兄を補佐して乱世を生き抜くべく戦いに身を投じていくことになる。だが、兄も父と同じく深酒が原因で命を縮めた。
跡を継いだ兄の息子を叔父として補佐する元就だったが、その子も病死。ついに元就が毛利家を相続する。
当初は尼子家に従っていた毛利家であったが度重なる無理難題や、元就の家督相続に反対するなどしたことから遂に元就は離反を決意。
大内氏の傘下に入る。尼子氏は元就を攻めるが、頑強な抵抗に遭い、さらには大内氏の援軍も駆け付けて敗北する。
勢いに乗る大内氏は尼子討伐の軍勢を以て月山富田城を包囲するが、長期戦に疲れた大内氏は退却。殿を務めた元就はかろうじて戦場を離れた。
その後、大内氏は当主の義隆が政治を顧みず文芸に耽るようになり、次第に重臣の陶晴賢との関係が悪化。遂に晴賢が反乱を起こし義隆を殺害。
これを切っ掛けに元就は大内氏との戦いを決意する。
毛利家の命運を決定付けたともいえる「厳島の戦い」の火ぶたが切って落とされたのである。
元就は敵の重臣が自分と内通しているかのように見せ掛けることで、内部分裂を起こし、敵が自ら戦力を削ぐように仕向けた。
所謂「反間の計」であるのだが、人間の猜疑心を甘く利用することで戦局を大きく自軍に有利なように傾けたわけだ。
さらに自軍の重臣が敵に内応するかのように仕向けて、大軍である陶軍を狭い厳島におびき寄せ嵐を付いて果敢に出陣して奇襲する。
数では勝っていた陶軍も完全にパニックになり、次々と討ち取られていった。
この戦いでは元就の三男で小早川家に養子として送り込まれていた隆景の活躍が大きかったという。
厳島の戦いに勝利した元就は弱体化した大内氏を滅ぼし、尼子氏も打倒。中国地方の覇者となるのであった。
こうして見ると元就の人生は幼年時は「
徳川家康」に酷似し、家族の愛情薄い艱難辛苦の中での船出であった。
二男の元春を養子に送り込んだ吉川家にしても、三男の隆景を送り込んだ小早川家にしてもかなりあくどい「お家乗っ取り」であったし、
尼子家の当主・晴久の叔父にあたる国久率いる「新宮党」を除くために元就が国久が自身と内通しているかのように見せかけたなどという話が囁かれるなど(実際は元就によるものではなく、尼子氏内部の自発的な粛清のようだ)、その知略は幾多の戦国大名の中でも抜きん出ていた。
信長・家康・秀吉を別にして、一代で十か国を支配下に置いた大名は元就だけだ。
武田信玄・
上杉謙信でもこれほどの領土の拡張は出来なかった。
豊臣政権下で健在であったならば、家康と並んで五大老の筆頭であったことだろう。
毛利元就は、歴史気にはマイナーでしたが、この作品で一気に
メジャーになりました。徳川幕府ができた頃、知将として名を馳せた吉川元春と小早川隆景。毛利家との関係が、このドラマで知ることができました。また、戦国時代中国地方の覇者だった大内家の滅亡と尼子家の独特な家風。厳島合戦を通して、変わっていく中国地方の動きがよくわかりました。
元就・中村橋之助は、やはり歌舞伎的ですね。しかし、毛利家をまとめた威風を感じる事ができます。息子役の若い俳優に交じって、若い中村のセリフが重く感じられます。天下を目指した守護と地方の戦国史を学ぶことができるドラマです。