甘い口説き文句なんて死んでも囁いてくれそうにない強面の
弁護士と(「名器だ」「やらせろ」とは平気で言うんですけど)、彼に身も世もなくのぼせあがってしまうちょっと遊び人の大学生のお話。
冷静に読み返してみると、これといった大事件が起こるわけでもなく、ただただ二人の関係が少しずつ変化していく過程が描写されているだけなのですが、書き手が上手いのでしょうね。読者の興味をそらすことなく最後までドキドキさせられます。
小生意気で世慣れた、でも案外純情(単純?)な青年もいいですが、この小説の最大の魅力はなんと言っても神谷
弁護士。傲慢でクールで我田引水、一方的に青年をたぶらかし(笑)翻弄しておいて、自分は仕事が最優先。・・・と書くといやな奴ですが、実は愛情表現が苦手で不器用なだけなんですね。本当は若い恋人にベタ惚れで、こんなにおまえが大事なのに何でわからないんだ!って焦れて勝手に怒り出すタイプ(はは)。
強引でオトナで、途方もなくかっこいい神谷先生にはまっちゃうことうけあいです。