私も井上雄彦のマンガの大ファン。 もっと固い人なのかなあ、と勝手にイメージしていたが、非常に気さくで優しい方だった。 その一方でマンガについては、毎回毎回悩みに悩み、ひねり出している事を知り、 そうゆう苦悩があっての素晴らしいマンガなんだとただただ感動するばかりだった。
漫画の域を飛び越えた「画」の力を感じる。 西本願寺の親鸞といい、今回の伊勢神宮奉納といい、どこまでも突き抜けていく井上雄彦という人をもっともっと見てみたい。
「がんばろう」でもない。「ひとつになろう」でもない。 あまりの苦しみに、悲しみに打ちのめされて、何かを感じることすらできなくなってしまった人に、ただそっと寄り添おうとする曲。
「元気出せ」と言われて傷つく人もいる。 「歩き出そう」と言われても、立ち上がることすら出来ない人もいる。 そういうことをちゃんとわかってくれている。 BUMPは、藤原基央は、やっぱりわかってくれている。
「ああ ああ」の膨大な繰り返しは、いくつもの傷ついた人の慟哭なのだと思う。 声を枯らして泣き叫び、それでも最後には穏やかな心に戻る。 そんな再生の意味も含まれているのかなと思った。
被災地の人だけでなく、傷ついた人のための曲でもある。 そんな普遍性が、この曲をただの復興支援ソングにはしていない。
そして、このCDには井上雄彦のイラストと共に曲が流れるミュージックビデオのDVDがついている。 一部は何度かCMで見ているが、フルで見ると印象がまた違う。 描かれているのはかっこいい「キャラ」ではなく、家族であったり、友人であったり、職場の同僚であったり、近所の人であったりする。
自分の周りに当たり前のようにいる人たち。 そんな普通の人たちの存在が愛おしくなる。 かけがえのないものだと気づかされる。
このCDの収益はすべて、東日本大震災の義援金として日本赤十字社を通じ寄付される。 どうかネットで無断で流されることのないようにと祈るばかりだ。
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