全3巻の中で唯一、すべてを通してゲーム(便宜上このように表現します)本編と直接つながりのない話です。内容的には、ただ単に本編付属の小説本にある「エルサレム」を約60分にまとめただけという感じで、オリジナル要素や演出上の工夫は特に見られません。
あと、エピローグで挿入歌が流れるのですが、その音づくりは極めて稚拙です。高音域が大変耳障りなのはご愛敬として、本来スローでメリハリのある楽曲であるにもかかわらず、聴感上の音圧を上げるためか、某アニメ作品に出てきたキャベツよろしく、強弱のない「のっぺらぼう」な音に仕上がっています。その割に、メインとの音量差を気にしてか、挿入歌のミキシングレベルを極端に下げています。このようなやり方はまったく理解不能です。
全体的に殺伐とした内容で、もともとあまり好きではないというのもありますが、演出上の工夫等や特典がないところにこの価格設定では、正直割高感は否めません。まずこれで減点。続いて、挿入歌の音づくりが稚拙な点を減点し、評価は星3つとします。
19世紀、
スウェーデンの農村で新しい信仰を求める「自由教会運動」が起こり、古い信仰に支えられたこれまでの共同体が崩壊していきます。新しい信仰に救いを求め、神の都エルサレムを目指す者も、古い信仰と生まれ育った土地を愛して
スウェーデンに残る者も、どちらも誠実であるがゆえに、親子、兄弟、恋人が決裂していきます。
主人公イングマルのその時々の決断と、その決断にいたるまでの苦悩を、もう少し丁寧に書いて欲しかった気はしますが、雪に覆われ、生きていくのが困難な
スウェーデンと、たどり着いてみれば決して楽園ではなかった灼熱のエルサレムの自然、そして、それぞれの地で奇麗事ではない生を生きぬく人々が、圧倒的な美しさであらわれています。