1983年にリリースされた初期非常階段(集団即興演奏時代)の秘蔵音源集です。オリジナルは10本組のカセットだったそうですが、現物は見たことがありません(CDケースの内側に
ジャケットが掲載されていますがモノクロコピーだったようです)。この時代は「蔵六の奇病」に代表されるピュアノイズではない、楽器で殴りかかったり怒声をあげて暴れたりといった危険を感じるような音楽です。複雑な音が重なりすぎてゴゴゴゴゴ、、、としか聞こえないところが特にスリリングです。初CD化が大部分ですが、一部は「蔵六の奇病」に収録されているものの録音違いがあります。また昔G-Modernでの非常階段ヒストリーで言及されていた螺旋階段時代のノイズロックともいうべき音源(Idiotさんや頭士奈生樹さんが参加、演奏後「これじゃ螺旋階段じゃなくて非常階段だ」といったのが命名のきっかけだそうです)が初めて公開されました(時間は短いです)。もちろんこういった音楽は購入する人を選ぶわけですが、このセットが素晴らしいのは日野日出志先生の絶望的なイラスト(地獄変ですね)が不必要なまでに美しく印刷をされていて、装丁が完璧な点です。アルケミーの音源は2013年現在このようにボックスセットで再発されはじめていますが、某社のは印刷が見れたものではなく、この作品がテイチクから再発されて本当によかったと思いました。ただ美川さんがコメントしている通り「こんなものを
メジャーで再発」して大丈夫なのでしょうか。あとはブックレットがもう少ししっかりしていれば(小野島 大氏のインタビューと現メンバーの簡単なコメントだけ)よかったのですが、これ以上は望みません。水準の高いノイズ音楽かつ物欲を満たすボックスセットを探しているならこれが一押しです。
収録の「地獄の子守唄」と「蔵六の奇病」は、子供の頃に単行本で読んで、とても感慨深かった作品。「地獄の子守唄」が、カラーで見れたのはよかったが、できたら、「蔵六の奇病」もカラーで復刻して欲しかった。なにしろ、この作品(蔵六)を
仕上げるためだけに、作者が一年かけただけあって、完成度が高く、絵的にも優れており、どんな色なのか見てみたかった。
「胎児異変 私の赤ちゃん」と「恐怖
列車」は(私の見方だが)日野の個性が充分発揮された作品というよりも、SFやショッカーホラーに挑戦した実験作。胎児異変(奇形児誕生)という題材なら、昔の地獄の子守唄の本に収録されていた「博士の地下室」という作品のほうが、遥かに怖い。
日野日出志の代表作の一つです。迷宮のような日本家屋に不気味な家族。日野テイストたっぷりな作品は一見の価値ありです。在庫がどれほどあるのか分かりませんが、いまのうちに手に入れた方が良いでしょう。
たぶん感覚の問題なのだろうけど、私には単なるグロや残虐を売りにしたシャシンとは異なる、なんとも形容しがたい、不朽の名作だと思っています。
タイトルを聴いた時に、やられた!と思いましたね。実に上手いネーミングです。低予算という制約が否応なくのしかかっていますが、ホント、カネがあったからといって、撮れるモノじゃないです。
内容は・・・谷崎潤一郎や乱歩、ジョルジュ・バタイユかピエール・ド・マンディアルグばりのかなり危ないオトナの童話みたいな話ですけど、こういうカタチのエクスタシーもありだと思うのであります。
まあ一般の方はスルーしてください。あたいのような、その手のチャンネルのある方だけおすすめいたしやす。