堀内孝雄の13枚目のオリジナル・アルバムです。
発表は1990年5月。
この1990年は、ベーヤンにとって忘れられない1年になったことでしょう。
1981年の
アリスの活動停止後、最も忙しかったのではないでしょうか。
とにかく引っ張り凧で、ドラマ主題歌などの依頼が殺到しました。
このアルバム『FIRST』の全10曲中、7曲がいわゆるタイアップ曲になっています。
中でも『恋唄綴り』は誰もが知るところの名曲で、1990年・第32回日本レコード大賞の「歌謡曲・演歌部門」で、堂々の「大賞」を受賞しています。
他にも「歌謡曲ゴールドディスク賞」と、この年の「作曲賞」(87年の『愛しき日々』以来2回目)をも受賞しました。
更に、この『FIRST』は「優秀アルバム賞」にも選出されたのです。
『愛しき日々』以降『恋唄綴り』まで「ニュー・アダルト・ミュージック」という新たなジャンル(やや演歌寄りの)の楽曲リリースが続いていますが、アルバムの方では、ニュー・ミュージック系の楽曲も多く、
アリス時代からのファンをも意識したアルバム作りがされていました。
しかし、それも前作『Hello Forty』までのようで、この『FIRST』では「ニュー・アダルト・ミュージック」色が色濃く、自信に満ち溢れているように感じます。
『FIRST』という
タイトルも、なるほど頷けますね。
そんな中で、関西地区限定リリースであった『今日も最高やねェ! -浪花に夢の風が吹く-』がいいアクセントになっています。
著者は体制側の人間であって物質的にも地位的にもそれなりの身分を享受していた。主に物資の割り振りをする役目だったが地元警察幹部の過大な割り振り要求を断固拒絶したためにあらぬ罪を着せられてしまう。収容所はすぐ人が死に、殺される。誰も自らにも刃が向くのを恐れ知らぬふりか無関心を装う。あまりの栄養、衛生の悪さに生きた人間の尻にウジがわいて食い尽くす様など戦慄を覚え、ホラー映画などただの作り話の陳腐なものと思い知らされる。この主人公ではないウジがわいた人物はそのウジを見て驚愕しほどなく絶命する。北のひどさ、悪さを実感できるナチス顔負けの実態の書。