スーパーモデルの自伝ということで様々なメディアで取り上げられたが、そのへんのタレント本とは訳が違う。
自分はソ連崩壊時の
レーニンの
銅像を民衆が倒す映像を子供の頃TVで見ていた記憶があった。
崩壊までの共産主義の下で抑圧された一般の人々の生活がどんなものか想像しえなかったが、10代の少女なら誰でも興味のあるファッションさえも厳しく咎められる中、著者は果敢に自分の意思を最後まで貫き通す。
その堅い意思はやがてソ連の反体制の思想を持ち、小さな村から国を出て世界へと飛び立っていく。
若い女性にぜひとも読んで欲しい本。
ほんの少し日本から離れた場所で同世代の女性が必死で勇敢に生きていたということを知ってほしい。
文章も洗練されており、時間を忘れてどんどん引き込まれてしまう。
4曲目までは間然するところがありません。
シベリア横断鉄道に乗せられ、眼を閉じて伸びやかに奏でられる歌に包まれると、あっと言う間に未知の場所へ。
前作までに見られた諧謔心はナリを潜めています。
中でも白眉は、「世界の果てへ連れ去られ」。
言葉少なに、涙がこぼれるのをグッとこらえるような、感傷的な美しさをたたえています。
『
Asiatic Spy』所収「ボクの村は戦場だった」以来の名曲です。