アメリカでは公開時にカットされた視覚不自由者達の結婚祝賀会のシーンの5分間が後に復元された経緯がある。カットバックシーンが錯綜しているので、一度見た時点で全てを理解するのは困難で、二度目を見るなり、ベルトルッチ監督のインタビューを見るなりすると味の出てくる映画。ドミニク・サンダが同性愛の傾向のある教授夫人を演じているが、サンダは監督がデートリッヒやガルボの雰囲気を持つ逸材として採用しただけあって、デートリッヒ風に煙草を吸ったり、女性を誘惑するシーンは男女の性を超越した美しさをみせる。原題はIl Conformista/The Conformist(体制に従う人)。ムッソリーニ時代の同性愛の傾向のある
イタリア人ジャン・ルイ・トランティニャンが主人公で、この場合“体制”はファシズムとheterosexual。主人公は、自らが他人と異なることを嫌い体制に迎合していく。プラトンの“国家”の第7巻の冒頭にある‘洞窟の比喩’が引用されており、光と影、人間の二面性といったことがテーマ。たとえ一時期“体制”であっても、影(偽り)は光(真実・イデア)に直面することで消え去ることの比喩が、見事に光と影を使った映像美で数秒のうちに表現されるシーンは必見。時代背景と舞台が
パリということで、自らに当てはめて映画を見る日本人は少ないかもしれないが、日本人は体制に従う傾向があり、事実、日本も戦時中はファシストに組し、特効警察はこの映画に描かれているものに近い。最近では、
横綱朝青龍のマスコミ総出の理不尽な非難に、体制に迎合した作家や芸能人が組したことが思い出される。この映画の鑑賞後の後味は重く暗いので、美しいエンタテインメントを映画に期待する人には不向き。ジュリアス・
シーザーをイメージした暗殺シーンは陰惨で、サンダとサンドレッリのヌードシーンもあり(性描写はきわめて穏当)、鑑賞は中学生以上が適当(アメリカではR指定)。
映画自体は星4つですが、画質が汚く、HDとは言い難い。
劣悪なマスターを使用したのでしょう。
本来の美しい映像を見ることが出来なくて残念です。
値段が値段だけに、金額分の価値があるとは言い難い。
マーメイドフィルムという会社が発売しているが、おそらくは製作の責任はこちらにあると思う。
紀伊国屋書店は販売担当でしょうが、もう少し品質の向上に協力するべきであった。
ざらつきのある画像は本来のものではないはず・・・もう少し綺麗な処理を希望する。
イタリアのミネルバが元凶でしょうが、このような品質のブルー・レイは流通させるべきではないと思う。
ストラーロの撮影によりサンダやサンドレッリの美しさが引き出されているのだが、画質の悪さゆえ本来の美が半減する。
ソフトの製作者にはHDの意味と価値を再考して頂きたい。