友人の勧めで昨年写真展を見に行って
イタリア、トスカーナノの写真に衝撃を受け、その場で写真集を購入した。まるで自分が、写真が撮られた瞬間、その場にいて、その場の風やにおい、光を自分の五感で感じられるかのように錯覚させるこのマジックは何?この天国にいるかのような幸福感はどこから来るの?そう思った瞬間に写真集を手にしていた。このカメラマンはガンで亡くなったそうだが、一瞬の中に時間を閉じ込めたかのような彼女の世界に入ってみると、自分が感じている不満や不幸が一瞬にしてどうでもよくなるようなしあわせ感があって、いつまでもそこで遊んでいたくなる。草のにおい、風の感触、太陽のあったかさ、少女のういういしさ、
猫、おじいちゃんとおばあちゃんの素朴な存在の確かさ。この人は、もしかしたら自分が死ぬことを知っていたのかも?と思えるほど、この世で実は一番かけがえのないものが見えてくる気がして、それも衝撃だった。今部屋の片隅の本棚の中で、一番自分を遠くてあたたかい世界に連れて行ってくれる、宝物のような一冊になっています。