村上春樹の短編には、長編とはまた違った趣がある。
短編特有の遊びをふんだんに盛り込みつつ、しかし彼独特の雰囲気は損なわれていない。
この短編の中でのお気に入りは、「ある晴れた日に100%の女の子に出会うこと」。
この話は「昔昔」で始まって、「悲しい話だと思いませんか」で終わる。
私が村上春樹の短編の中で、もっとも好きな短編のひとつだ。
なぜなら彼の小説のテーマは「生死」、「恋愛」がほとんどであり、そのうちの「恋愛」の部分のエッセンスがこの「100%」に濃縮されているからだと思う。
それは傍から見るととても不確かで、しかし自分の感性の中では確信に近い。
でも相手はどうなんだろう、と考え始めると不安で仕方ない。
と書いてしまうとただの普通の恋愛なんだが、本人にとってはかなりドラマティック。
期待、確信、不安、葛藤、落胆。
こんな要素が短い物語の中にうまく詰め込まれ、春樹ワールドを堪能できる。
今まで20年にわたって何度読み返したかわからない(少なくとも10回以上)が、何度読んでもすばらしい。
4月、晴れた朝、
原宿の裏通り、花屋の前。
遠くからやってきたのは、僕にとってはまさしく100%の女の子だった。
一般的な美人ではないけれど・・・
他の短編の中には「羊をめぐる冒険」に出てくるいくつかのシーンを見つけることができる。
雪の降る札幌の町、そして羊男。
長編の断片を見るようで、ファンとしてはやっぱり楽しい。
アニアシリーズは子供が気に入って遊ぶので集めています。
カンガルーの子供が覗いていてかわいい。