たまたま点けたNHKで、エル=バシャさんの演奏を見てすっかり魅了されて、これを買いました。
Hyblid SACDが普通のCDプレイヤーで聞けることも知らなかったので、amazonで手に入るうち唯一普通のCDフォーマットだったこれを選んだんですが・・・(だってラヴェル集はSACD互換機が必要ですって書いてあるし(^^;)
しかし、「ヴィルトゥオーゾ作品集」って超絶技巧作品集のことだったんですね・・・。
確かに技巧的にはすばらしいのでしょうが、1曲1曲が独立しているし地味な練習曲が多いので、私が魅了されたエル=バシャさんの、物語が眼前に広がるような雰囲気は薄いです。
自分はピアノを弾かないので、なにがどう超絶技巧なのかもあまりピンときません。
ただ
ロシア音楽好きなので、
ロシアっぽい雰囲気と、「ラフマニノフってこんな曲も作ってたのね〜」とかは楽しめます。
あと1曲1曲が独立していることで、仕事のBGMなどにはうっかり聞きほれてしまうこともなく良いです。
最後のペトリューシカ3曲は楽しくうきうきし、私が聞きたいエル=バシャそのものでした。
1990年代に録音されたCDと比較すると、わずかではあるが全体的にテンポが遅くなり、打鍵の切れ味も悪くなった。そのためか、演奏表現も機械的に硬直化しているように感じる。Forlaneで瑞々しい演奏を聞かせていたエル=バシャの全集ということで期待感を持っていたが、「ソナチネ」のような難易度の低い曲でも見通しの悪い演奏をしているので、ガッカリしてしまった。この録音に近い時期の来日公演ではベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」などを見事に聞かせていたが、やはりラヴェルはイマイチだった。単に好みの問題では済まされない、もっと深いところでピアニズムが変化し始めたようにも思える。今後のエル=バシャの演奏の方向性には注目したい。