市川崑監督の1994年の作品なのだがどうももう一つ面白くない。
在り来たりの「忠臣蔵」のストーリーでないところは良いのだが、あの映像に秀でた市川崑監督らしからぬセットや衣装などの
美術が安っぽいので映画に引き込まれていかない。
また斬り合いのシーンも本物らしさに欠け、時代劇としては並程度の作品だった、残念。
本作は、主に男性視点からの映画だ。
森三中も中村ゆりも、そして濱田マリも、脚本に書かれた内容は男目線である。
中島哲也(今回は脚本のみ)も、そのあたりは十分分かった上で書いたのだろう。
かなり評価が低めの作品だが、そりゃ女性が観たら引くし(笑)、下ネタばかりの進行も合わない人が多いだろう。
それは、この映画を「
成宮寛貴」と「中村ゆり」が主演のラブコメ、と考えるからいけない。
本作は、一世を風靡した「明るく楽しいにっかつロマンポルノ」の血をひく作品なのだ。
ポルノ映画はAVと違い、脚本がある「活動写真」だ。だから「キネ旬」にも掲載される。
でも、いざ新東宝作品や、国映作品の上映館に入るか、といえば、躊躇してしまう。
まさにその感覚こそが、「ララピポ」を観て(しまった)後の感想なのだと思う。
メイキングで成宮が「こういう役を待っていた」と語っているが、怪しげなスカウトマンになりきった芝居は見事
だったし、本作で観ると普段のイケメン振りが、逆に怪しく見えるから不思議だ。
キャバクラからAV女優へ転身する、トモコ役の中村ゆりも良かった。
自身の出自を明確にしているため、アイドル的な役柄はほとんどない女優だが、今回も薄幸の美人として魅せてくれた。
その他の配役は、本当にかつてのロマンポルノ的な感じで、個人的には大好きである(笑)。
ところで、新井浩文はどこに出ていたのだろうか・・・
特典映像はメイキング、インタビュー、舞台挨拶が収録されている。
「あなたにとってのSEXとは?」とメインキャストに聞いて回るインタビューは特に面白い。
作品としては2つ星だが、特典映像にプラスの3つ星。