宇多田ヒカルのライブDVDは今回で3回目(Unpluggedを除き)ですので、前作、前々作との比較になります。今回のステージでは、U2が「Vertigo」Tour、で使用しているLEDの巨大なカーテンをバックに歌うのですが、写し出される映像に是非注目して欲しい。
中盤で「Untitled(Interlude)」の部分はヒッキーの朗読と共にLED画面が目まぐるしく変化するとともに、流れている音は「ミュージック・コンクレート(現代音楽の1手法)」そのもの、ある意味「プログレッシブ」とも言える。その後の3曲は「Exodus」からなのですが、彼女は、
英語で物事を考えている事がハッキリと判る位、日本語の曲との落差を実感した。Utadaは、前後の曲と異なり、自由に伸び伸びと歌っているコントラストに彼女が本来持つ魅力を白日の下にさらしている。やはり、頭脳はアメリカ人なのだ!と言う事。これまで日本語(少し
英語を交ぜてはいるが)の歌詞が曲のリズムに乗り切れていない(敢えて言えば「字余り」)点は、気にはなっていたのだが、こうも明確に差が出ると「なるほど」と認識できた。彼女は日本語に固執する必要は無いのだ!
英語で歌う方が魅力的なのだ。
しかし、日本人には、やはり日本語の歌詞の歌も歌って欲しい(矛盾するのだが)。「誰かの願いが叶うころ」の背景の
スクリーンをトリミングせず、写して欲しい。何が写されているのか、是非ご覧になって頂きたい。歌詞の後半部分は、その映像と結びつける事で、別の重要な意味を持つ事になった。これには、参りました!
現時点では、彼女のライブ映像で最高の作品だと思います。画像も撮像素子の弱点である暗部のノイズが比較的少なく、見やすい事も特筆できます。これから、宇多田ヒカルは、Utadaの持ち味も交えて、音楽的に成長するように思います。その時ファンは、付いて行けるかどうか、ファンの皆さん、是非、洋楽も聴いておかないと、取り残されます。