この作者がアーティストMORRIEの曲名を
タイトルによく使っているのは解る人には解ること。
この「iの遠近法的倒錯」(オリジナルの
タイトルは「愛の遠近法的倒錯」)というのはMORRIEのソロアルバムの2枚目、「ロマンティックな、余りにロマンティックな」に収録されている「破壊しよう」が、CD音源化される以前にライヴ゙で演奏された際の、いわば仮
タイトルである。
このマニアックさが、知らない人には解らない秘密なのだと思う。
これは最近読んだ中でも相当面白いものでした。登場人物の顔、環境、背負っているもの。文章の流れの良さは抜群、決して単なるクライム小説ではなく、ノワールでは決してない。一度読むと「OUT」を想像するかもしれませんが、登場人物はそれほど馴れ合っているわけでもありません、抱えているものが重いのです、もっとそれを説明してもよかったような気も読後感じましたが、そんなもんは吹き飛んでしまいます。角川文庫ですから「映画化」は考えられますね、そんな面白さでした。