ドラマを観てからこの映画を観たので、映画がドラマのダイジェスト版みたいに感じました。映像は瑞々しく、特に高校時代の二人の場面は良いのですが、それ以外はあまりのめり込めませんでした。長澤さんのまんまるい顔が非常に健康的に見えました。
私はこれまで何枚かサウトラを買ってきましたが、この世界のサウトラは久々の当たりでした。特に「朔と亜紀」は、ドラマではクライマックス=一番泣けるところでかかる曲。聞いただけで思い出すあのシーン。。。映像が共に蘇ってきて、聞いただけで涙が止まらないこのサウトラ。絶対逃してはいけません!!
さすがはTBSドラマだと思った。
原作にない演出や出来事も、違和感なく補完されている感じ。
尺が余って足したのであろうエピソードなのに、感動する。感情移入できる。
つまりかなりの改変がなされているのだが、映像と演出が見事。
原作の雰囲気、世界観は全く損なわれていないのだ。
特に印象に残っている足されたエピソードといえば、 朔のおじいちゃんの骨をアキと撒く回や、アキに対する後悔を呟くアキ父など。
前者は原作じゃさらっと済まされていただけだった。撒いてきた、という事実だけが書かれていた。だからその辺の足し前は嬉しい補完。
後者はアキの余命が短いと告げられた病院で、白いスカートをはいている子供を見かけたアキ父が、 あんなスカートをねだってきた幼少の頃のアキを思い出し、 買ってやればよかったと涙する場面。
ラストシーンは、はっきりとした答えは出ないけれど… 朔が幾度と見ていた夢が覚める前なのかもしれない。
しかしその夢は、最後必ずアキがいなくなるという結末だった。
ラストシーンはそうならなかった。
朔とアキが、お互い言葉を交わすでもなく幸せそうに手を繋いで、夕暮れの海辺を歩いていく。
なんとなく、朔の人生の終わりにアキが待っていたという表現なのかなと。
原作より、朔太郎
『僕の人生の終わりに、アキが待っていてくれる』
そうして朔太郎は、ついに肌身離さず持っていたアキの骨を撒くのだ。
そう考えると、大幅な肉付けはされているが、とても原作を大切に作られたんだなと思う。
ありきたりな純愛モノとしてある映画版より、こちらのドラマ版を強くお勧めする。
原作の世界観を壊すことなく表現し、非常に完成度の高いドラマに
仕上げていると思う。