東映動画が「
とんがり帽子のメモル」に続いて世に放ったいわゆる「女児向けアニメ」の異色作、放映当時は「大きなお友達」などという言葉はなかったが現在のプリキュアに連なるマニアックな要素を含んだ野心作である。
なんといっても本作の魅力はヒロイン「ジュン」の片思いの健気さ(プラス年齢とのギャップがありすぎる外観)と不良王子「ゼロ」の凸凹カップルラブコメにあり、それが魔法少女的な「日常の事件を超能力で解決する」という枠組みの中で描かれる(魔法ではなくジュンの発明によるものだが)という「アニメファン」のマニアックな趣向に合致した「一般女児向けアニメ」な点にあるのだ。
少年漫画界で高い人気を博した「大島やすいち」の読み切り「リトルジュン」をベースに東映流のアレンジを加え、
魔女っ子風味の味付けを加えた正統派の空気をまとった邪道作、それこそ「はーいステップ ジュン」なのだ。
この
タイトルの「はーい」ときて「ステップ」という口にするのが照れくさいセンスの魔性。
生涯いちアニメーターを貫いたプロ中のプロ「小松原一男」による「メモル風」のアレンジが効いたキャラクターデザイン、
後に「あずきちゃん」「
キテレツ大百科」の脚本のほとんどを執筆する脚本家「雪室俊一」による両作の原型とも言える「ラブコメ」と「発明」の日常譚、
後にリメイク版「
魔法使いサリー」に主演する声優「山本百合子」の愛らしく快活な声と演技、
当時
タッチなどで人気だった「難波圭一」演じる「王子系不良少年」ゼロのかっこよさ、
今は亡き名優「つかせのりこ」「はせさんじ」の素晴らしい芝居が聞けるだけでも本商品を購入する価値がある、(後に人気声優となる西原久美子の若き日のチャーミングな声も必聴!)
女の子達がメルヘン調でかわいいデザインなのにゼロ、羽生といった男性キャラたちのバイオレンスな男臭さがアンバランスなのも魅力的!
残念ながら本作は「ヒロインの憧れの王子様が不良なのはけしからん」という外圧によって後半路線変更されるが本商品で
身長差カップル(になりたいと願う少女)のメロメロでラブラブで甘甘な「片思い」(雪室俊一の独断場)を堪能されたし。
80年代に訪れようとしていた「東映動画」の転換期をその目で確かめて欲しい。
さてお次は「こてんくテン丸」か?「
コンポラキッド」か?個人的にはぜひとも「剛球超児イッキマン」をお願いしたい!あとプレミアがついて視聴困難な「theかぼちゃワイン」あたりも是非是非!!
子供の頃丁度見ていた時期のアニメソングが収録されており、全体的に満足のできる収録内容だと感じた。特にオバケのQ太郎エンディングの「BELIEVE ME」を収録しているところがすばらしい。この曲は現代の人が忘れ去った「友情、愛情、思いやり、やさしさ」を連想させ、感動を呼ぶ、アニメソング屈指の名曲である。他にもステップジュンのOP、EDは80年代を思い起こさせ、とても懐かしいし、ぶーにゃん、猿、メカドック等、アニメファンのかゆいところに手が届く構成だと感じる。ただ一つ残念なのは北斗の拳がカバーになっている点であろうか…