アシジの丘―聖フランチェスコの愛と光
アッシジの総合ガイドではない。
作者と縁があるカメラマンがイタリア旅行の強行スケジュールの中で2日間アッシジを訪れた際の感動をつづったものである。
本も百数十ページで、写真が大半を占めるため、アッシジの雰囲気を写真で感じるには適しているし、実際伝え切れていると思うが、本文の部分は正味50ページくらいなので、すぐ読める。
アッシジは聖フランチェスコの街として有名であり、キリスト教徒にとっては巡礼地のひとつになっている。街自体が敬虔な雰囲気を持っており、著者が体験したように、聖フランチェスコが息を引き取った小堂では感動のあまり涙がこみ上げることがあるかもしれない。
アッシジを実際に訪れる機会がある際に、訪れる前夜アッシジに対してのイメージを高めるために本書を携えるのがお勧め。
THE PRAYER~祈り
岡幸二郎はミュージカル界の大スターですが、その伸びやかで力強い歌唱にいつもながら聞き惚れます。このCDでは高らかに力強く歌いあげるミュージカル唱法の楽曲ばかりでなく、さらりと語るように歌っている楽曲など、色々な[祈り]の形を聴く事ができます。ミュージカル・ファンのみならず、[トスカ][トゥーランドット]でアリアに興味を持ったフィギュア・スケート・ファンにもオススメしたい1枚です♪。[ピエ・イエス]のみ原語歌唱で、他の楽曲は日本語歌唱です。オペラやミュージカルの曲が多いですが、日本語の訳詞が単なる直訳ではなく心に響く解釈の歌詞で気に入ってます。聴いていて自然と心癒されて、何度も聴きたくなる不思議なCDです。こちらのCD版も素晴らしいのですが、プロモーションDVDとCDがセットになったバージョンもあります。プロモーションDVD撮影はタイで行われた映像で、普段はモデルの様にファッショナブルな岡幸二郎のちょっと意外なナチュラルな魅力を堪能できます。DVD映像にはピエ・イエス、星は光りぬ(トスカ)、深い河、誰も寝てはならぬ(トゥーランドット)、想いはいつか風にのって、の5曲の映像が収録されてます。特に[星は光りぬ]はオペラの舞台の解釈とは違った演出の映像で興味深いです。DVDセット版とCD版とはジャケットのデザインも異なり、結局私は両方購入しました(笑)
アラブ、祈りとしての文学
2009年12月出版
まだ出版されたばかりです。てっきり翻訳物だと思って手にとってみたのですが、1960年生まれの日本人女性のまだ49歳若手学者によるアラブ文学論書です。文章は学者らしからず、流麗です。論旨は解りやすく流れていきます。普通の読者なら、出てくる地名も人物名も判りません。採り上げられている作品も一瞥もないものばかりです。それでも論旨を辿っていけるのは著者の力量だと思います。文学論書のはずですが、著者の感情の揺れ動きが読者に大きく訴えてきます。
*文学などして何になる
著者は、パレスチナの惨状を目の当たりにして、文学を論じたり研究をしていることの無力さを自ら強くなじります。読者にしても、パレスチナの惨状を知れば知るほど著者同様に知って何になる!という無力感は強く感じます。でも、まず知ることから始まります。感じて注目していることの、見守ることでの抑止力は確実に存在します。無力を知りながら抑止になるように祈るようにして文章を綴る。表題の「祈りとしての文学」という意味はここにあるようです。
*ネイションの彼方
抑圧されたり殺害されたパレスチナ人の中にはユダヤ人もいました。あるユダヤ人婦人は、ナチスドイツの迫害を避けてイスラエルに来てからパレスチナにアラブ人として生活していました。親兄弟はイスラエルに住んでいます。婦人の息子はパレスチナ解放軍に加わります。そのユダヤ人婦人は死を前に、十代まで暮らしていたドイツへ帰って死にます。ネイションとは何なのかの命題は付いて回ります。
太田大八作品集
太田大八は絵本画家の域を超えている!と思う。もちろん絵本画家のなかの絵本画家だと思う。絵本の各作品には愛情があふれている。それが、作品集になった。かさ や だいちゃんとうみ のファンの人へ、こんな絵も描いているのかとおどろかれるはず。 もっと作品集がでてきても良いのでは、、と思う。とにかく私の宝物のひとつだ。